ロンドン為替見通し=ユーロに材料薄も、ドル安でユーロドルは底堅いか

 昨日のユーロドルは独・ユーロ圏の弱い景気指数が重しとなり、4日ぶりに反落した。昨日に発表された独・ユーロ圏の5月購買担当者景気指数(PMI)速報値は、製造業には引き続き安定化の兆しが見られたものの、サービス部門PMIは需要の落ち込みで予想を大幅に下回る結果となった。

 また、6会合連続で利下げを決定した4月の欧州中央銀行(ECB)理事会の議事要旨によると、当局者はインフレ率が中期的に目標値に戻り、インフレを巡る衝撃との闘いはほぼ終わったとの確信を強めたとし、短期的にはディスインフレの圧力が優勢になる可能性を指摘したことが明らかになった。また、一部の当局者は世界的な貿易戦争が将来的に物価上昇につながる可能性があると指摘したが、大多数の当局者は金融市場が過度の変動性を示しているときに予定されていた利下げを前倒しすることで必要な安定性が提供できるとの見解が示された。市場ではECBが6月5日の次回会合で追加利下げが決定されるとほぼ織り込んでいる。

 本日、ドイツで1-3月期GDPの発表が予定されているが、改定値の発表であり、速報値との振れが大きくなければユーロの反応は鈍いだろう。米政権と欧州連合(EU)の関税交渉関連のヘッドラインには引き続き注目。EUの欧州委員会は、米国との関税交渉が決裂した場合、最大950億ユーロ相当の米国からの輸入品に対抗措置を課すことを提案しているが、報復関税よりも交渉による解決を望むと繰り返している。一部報道によると、EUはトランプ米大統領が表明した関税を撤廃するための総合的な対策の一環として、米国産ロブスターの関税免除を延長することを検討していると伝わった。

 ユーロ独自に買い材料が乏しいが、依然としてドルに売り圧力が強く、ユーロドルは底堅い動きが見込まれる。昨日は米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」を巻き戻す動きが見られたが、トランプ政策に市場は厳しい目線が向けられている。トランプ米大統領の大型減税を盛り込んだ法案は下院では僅差で可決され上院に送られた。「米史上最大の減税」により経済成長の加速を狙うが、税収減による政府債務の膨張は不可避とみられる。米債の動き次第では「米国売り」の再燃が警戒される。ドル安地合いは変わらず、ユーロドルの支えとなる。

・想定レンジ上限
 ユーロドルは21日高値1.1363ドル、4月23日高値1.1440ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・転換線163.51円、15日高値164.07円。

・想定レンジ下限
 ユーロドルは22日安値1.1256ドル、日足一目均衡表・転換線1.1224ドル。ユーロ円は22日安値161.81円、4月22日安値160.99円。

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