ロンドン為替見通し=欧米通商交渉の関連ヘッドラインに要警戒か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ロンドン市場がスプリング・バンク・ホリデー、ニューヨーク市場がメモリアルデーのため休場となるため、動きづらい展開が予想される中、欧米通商交渉に関するヘッドラインに警戒する展開となる。

 先週末、トランプ米大統領は、トゥルース・ソーシャルで、EUとの通商協議に進展の見込みが全くなく対処が難しい、と書き込み、6月1日から50%の関税を課す意向を示した。
 トランプ米大統領は、4月にEUに対して一律10%の基本税率に20%の上乗せを加えた合計30%の追加関税を打ち出したものの、トリプル安などにより、90日間は10%の関税にとどめ、上乗せ分の導入は停止すると発表していた。

 しかし、本日、トランプ米大統領は、6月1日からの関税発動を撤回して、7月9日までの延長に戻しており、本日もSNS投稿や関連ヘッドラインに警戒していくことになる。

 フォンデアライエン欧州委員長は、「トランプ米大統領と良好な電話協議を行った」「EUには協議を速やかかつ決定的に前進させる用意がある」「EUは良い合意に達するために7月9日まで時間が必要」などと述べ、欧米通商交渉に対する楽観的な見方を裏付けている。

 一方で、ベッセント米財務長官は先週末に「トランプ米大統領はEUの提案を他国の提案ほど良くないと見ている」とやや悲観的な見解を示していた。

 また、本日は、ナーゲル独連銀総裁とラガルドECB総裁の講演が予定されており、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会に向けた追加利下げへの言及に注目しておきたい。

 ナーゲル独連銀総裁は、先日、「7回の利下げを経て、ECBの預金金利は2.25%になっており、この水準はもはや引き締め的とはいえない。不確実性が高い状況が続いていることを踏まえると、金融政策運営で引き続き慎重な姿勢を維持しなくてはならない」と、利下げ停止を示唆していた。

 ラガルドECB総裁は、「国際貿易が二度と元に戻らないことは明白だが、さらなる交渉が行われることも明らかだ」と述べ、欧米貿易交渉への期待感を示していた。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1573ドル(4/21高値)
・ユーロ円:163.41円(5/22高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1218ドル(5/20安値)
・ユーロ円:160.99円(4/22安値)


(山下)
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