ロンドン為替見通し=ユーロポンドの動向に注目、ECBチーフエコノミストが講演予定

 本日のロンドン為替市場では、昨日強まったユーロ買いポンド売りの流れが継続するかに注目。重要な経済指標の発表はなく、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事の講演が予定されている。

 昨日のロンドン序盤に発表された英雇用データでは、2-4月英失業率(ILO方式)が4.6%と予想通りではあったものの、2021年5-7月期以来の高水準を記録。また、週平均賃金が総合・除くボーナスとも5%台で減速した。これを受けて年後半から英中銀に利下げ圧力が強まるとの見方が広がり、ポンドの地合いは弱まった。

 ポンドは対円では、ドル円の底堅さもあり持ち直したものの、対ドルでは1.35ドル前半では上値を抑えられた。ユーロポンドは0.84ポンド前半から0.8470ポンド手前と約1カ月ぶりのユーロ高ポンド安水準まで上昇し、その後の下押し幅も限られた。

 ここ2カ月ほどのユーロポンドの動きを振り返ってみる。トランプ関税が市場の不安感を一気に高めた4月前半、2023年11月以来の高値圏0.8730ポンド台まで上昇。しかしながら、欧州連合(EU)が米国と対立色を強めた一方で英米関係はそれほど悪化せず、ポンドにとってはポジティブ要因に。ユーロポンドは反転すると下落圧力を強め、5月末には0.8350ポンド台までユーロ安ポンド高に振れた。

 その後、ECBの利下げ休止観測で下げ渋っているなか、昨日の弱い英雇用データでユーロ買いポンド売り戻しが強まった。クロス通貨であり、一方通行とはなり難いものの、底打ち感は出てきたように見える。

 米国を巡る貿易問題では、ここ最近のニュースを見る限りEUも最悪な展開は避けられるのではないか。そうなると、欧州の金利面だけでなく経済・政治面でもユーロの底堅さにも繋がるだろう。そういったなかで、ECBのチーフエコノミストでもあるレーン専務理事が、講演で「不確実性」についてどのように言及するか注目される。

想定レンジ上限
・ユーロポンド、5月9日高値0.8493ポンドを超えると同月8日高値0.8523ポンド
・ユーロドル、5日高値1.1495ドル

想定レンジ下限
・ユーロポンド、21・90日移動平均線0.8421ポンド
・ユーロドル、6日安値1.1372ドルを割り込むと5月30日安値1.1313ドル


(小針)
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