NY為替見通し=5月米PPI、トランプ米大統領の発言、米30年債入札に要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、5月米卸売物価指数(PPI)や米30年債入札を見極めながら、トランプ米大統領の関税に関する発言に警戒していく展開が予想される。

 ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、雲(下限:144.33円、上演:145.60円)が攻防の分岐帯となっており、基準線の145.39円や転換線の143.92円もあわせて念頭に置いておきたい。

 昨日、トランプ米大統領は、「一方的に関税率を設定して、今後おおよそ1週間半か2週間以内に各国・地域に書簡を送る」と述べた。4月に発表した上乗せ関税一時停止の期限が切れる7月9日より前、そして、6月15-17日に開催されるG7首脳会議終了後のタイミングとなる。

 また、ベッセント米財務長官が90日間としていた「相互関税」の猶予期間の延長を示唆しており、今後の関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
 トランプ米大統領は、ウォール街では「TACO」(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもおじけづく)と揶揄されており、期限付きで脅しをかけた後、撤回を繰り返してきており、今回の脅しの実現性を見極めていくことになる。

 昨日発表された米5月消費者物価指数(CPI)は、食品とエネルギーを除くコア指数が4カ月連続で市場予想を下回っていた。本日発表される5月米卸売物価指数(PPI)の予想は前月比+0.2%、前年比+2.6%、コア指数の予想は前月比+0.3%、前年比+3.1%となっている。

 米連邦準備理事会(FRB)は、インフレ指標として「PCEデフレーター」を注視しており、PPIの項目のうち、ポートフォリオ管理費、航空運賃、外来医療費などがPCEデフレーターの算出に用いられるため、注目しておきたい。

 米30年債入札では、先月の20年債入札が不調となり、ドル売りにつながったことで警戒しておきたい。一時に比べて米国売りというトリプル安への警戒感は後退しているものの、不調だった場合は、米国売りが再燃する可能性がある。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、145.60円(日足一目均衡表・雲の上限)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、143.45円 (6/6 安値)


(山下)
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