NYマーケットダイジェスト・11日 株失速・金利低下・ドル安

(11日終値)
ドル・円相場:1ドル=144.56円(前営業日比▲0.31円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=166.08円(△0.57円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.1487ドル(△0.0062ドル)
ダウ工業株30種平均:42865.77ドル(▲1.10ドル)
ナスダック総合株価指数:19615.88(▲99.11)
10年物米国債利回り:4.42%(▲0.05%)
WTI原油先物7月限:1バレル=68.15ドル(△3.17ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=3343.7ドル(△0.3ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な米経済指標)
       <発表値>   <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比)   12.5%      ▲3.9%
5月米消費者物価指数(CPI)
(前月比)   0.1%       0.2%
(前年同月比) 2.4%       2.3%
エネルギーと食品を除くコア指数
(前月比)   0.1%       0.2%
(前年同月比) 2.8%       2.8%
5月米財政収支
     3160億ドルの赤字  2584億ドルの黒字

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は反落。トランプ米大統領が自身のSNSに「習近平中国国家主席と私が最終承認すれば中国との合意は完了」「中国からレアアース(希土類)が前倒しで供給される」と投稿すると、米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ドル買いが先行。21時過ぎに一時145.46円と日通し高値を更新した。
 ただ、米労働省が発表した5月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%/前年比2.4%と前月比で予想を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.1%/前年比2.8%と予想よりも弱い内容だったことが分かると一転円買い・ドル売りが優勢に。21時30分過ぎに144.33円と日通し安値を更新した。
 そのあとは145.18円付近まで下げ渋る場面もあったが、買い戻し一巡後は再び上値が重くなった。「米政府は中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」「中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定」との一部報道を受けて、米国株相場が失速したことも相場の重し。3時過ぎには144.33円付近まで押し戻された。

・ユーロドルは3日続伸。欧州中央銀行(ECB)による利下げ局面が終わりに近づいているとの見方が強まる中、5月米CPIが予想より弱い内容となったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが優勢となった。3時過ぎには一時1.1500ドルと4月22日以来の高値を更新した。

・ユーロ円は5日続伸。ECBの利下げ観測が足もとで後退する中、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。23時過ぎには一時166.42円と昨年10月31日以来の高値を付けた。ただ、ドル円の下落につれた売りが出ると伸び悩んだ。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は小反落。米中貿易摩擦の緩和期待や5月米CPIが予想より弱い内容となったことを背景に、買いが優勢となった。指数は一時240ドル超上昇した。ただ、「米政府は中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」「中国のレアアース輸出規制緩和は6カ月の期間限定」との報道が伝わると失速した。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落。前日に約4カ月ぶりの高値を付けたあとだけに利益確定目的の売りが出た。

・米国債券相場で長期ゾーンは上昇。5月米CPIが予想より弱い内容だったことが分かると、インフレへの警戒が薄れ、債券買いが広がった。

・原油先物相場は反発。米中協議を受けて米中貿易摩擦緩和への期待が高まり、石油需要の先行きに楽観的な見方で原油に買いが入った。5月米CPIの結果を受けて米利下げ期待がくすぶったのも相場の支えとなった。
 この日、エネルギー情報局(EIA)が発表した週間原油在庫統計はまちまちで反応は限られた。原油在庫は364.4万バレルの取り崩しと予想以上に減少した一方で、ガソリンとディスティレート(留出油)の在庫は予想以上に増加した。

・金先物相場はほぼ横ばい。米中貿易摩擦への懸念が和らいだことが安全資産とされる金の買いを後退させたが、米CPIの結果を受けて米長期金利が低下したことが支えとなった。売り買いが交錯し、方向感は出なかった。

(中村)
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