株式明日の戦略-大幅安も後場には持ち直す、来週は中銀イベントが注目を集める

 13日の日経平均は大幅続落。終値は338円安の37834円。米国株高を受けても小安く始まり、すぐに下げ幅を3桁に拡大。イスラエル軍によるイラン攻撃が伝わったことでリスク回避ムードが強まり、序盤は下を試す流れが続いた。一方、37500円台に入って600円超下げたところで売りが一巡すると、10時台半ば辺りからは値を戻す展開。後場は緩やかに下げ幅を縮める動きが続き、大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆1900億円。メジャーSQ日で商いは膨らんだ。業種別では鉱業、石油・石炭、電気・ガスなどが上昇した一方、空運、繊維、サービスなどが下落した。1:3の株式分割などを発表したイオン<8267.T>が大幅上昇。半面、1Q決算が失望を誘ったエニグモ<3665.T>が後場に入って急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり291/値下がり1303。中東の地政学リスクの高まりを受けて、防衛大手の三菱重工やIHIが大幅上昇。細谷火工や石川製作所など中小型の防衛株にも資金が向かったほか、原油高への思惑からINPEXが買いを集めた。人材サービスで好決算が確認できており、タイミーが急伸してビジョナルがストップ高。今期の営業黒字見通しを提示した3Dマトリックスがストップ高となった。

 一方、東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテックなど半導体株が大幅安。円高進行を受けてトヨタ、SUBARU、マツダなど自動車株が売りに押された。インドで墜落事故が発生してボーイング株が売られたことを嫌気して、AeroEdgeや東レが大幅安。決算を材料にダブルスコープやMacbeeが急落した。

 日経平均は大幅安。ただ、一時600円超下落したものの、パニック的な下げにはならなかった。終値(37834円)ではしっかり25日線(37760円、13日)を上回っている。本当の意味でのリスクオフであれば、25日線を割り込んだ時点で下げが加速していただろう。金曜に崩れたにもかかわらず大引けが後場の高値となっており、押し目買い意欲の強さがうかがえる。きょうは軟調相場の中でソフトバンクG<9984.T>とアドバンテスト<6857.T>が2%を超える上昇となった。米長期金利が低下してきたことで主力グロース株に資金が入りやすくなる展開も想定されるだけに、来週もこの2銘柄の動向には注目しておきたい。


【来週の見通し】
 堅調か。日銀金融政策決定会合(6/16~17)とFOMC(6/17~18)が注目イベントとなるが、今回はどちらも政策変更はないとみられている。植田総裁やパウエル議長の発言が為替市場や債券市場を刺激する可能性はあり、米国が利下げ見送りの場合にはトランプ大統領がFRBへの不満を表明すると思われるが、波乱は少ないだろう。中東の地政学リスクの高まりは懸念材料ではある。ただ、このような局面では中央銀行から市場の不安を取り除くようなメッセージが出てくる展開も期待できる。FOMCの結果を確認するまでは様子見姿勢が強まりやすい上に、米国は木曜19日が休場で、やや手がけづらさはある。それでも、現時点での日米中央銀行のスタンスを確認することで買いは入りやすくなるとみており、週を通してはしっかりとした動きを予想する。
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