東京為替見通し=米国信頼低下・円金利上昇も需給がドル円の支え、豪は月次CPI発表

 昨日の海外市場でドル円は、FRBの独立性を巡る懸念が引き続きドルの重しとして意識されたことや、米10年債利回りが低下幅を拡大に伴い147.10円付近まで弱含んだ。ユーロドルは欧州序盤に下値の堅さを確認すると、ドル売りの流れに沿って買い戻しが入り1.1665ドルまで上昇した。もっとも、バイル仏首相が内閣信任投票を実施する意向を示し、仏政局の先行き不透明感が意識されていることもあり、買い戻しの勢いも徐々に鈍くなった。

 本日の東京時間でのドル円は、引き続き需給面でのドル買い・円売りとファンダメンタルズ面でのドル売り・円買いのせめぎ合いになるか。

 8月の月末週で、本日はスポ末(スポット応当日が月末)ということもあり、リバランスを含めたドル買い需給などがドルの支えになりそうだ。

 一方で、ドル売り・円買いを促す材料は事欠かない。昨日は日本時間の9時過ぎにトランプ米大統領が、自身のSNSでクック米連邦準備理事会(FRB)の解任通知書を掲載。これを受けて米国資産売り、トリプル安(米債・米株・米ドル安)が進んだ。大統領は正当な理由があればFRB理事を解任できるが、市場参加者の多くがFRB理事の過半数をトランプ派で占有させたいというトランプ大統領の政治的介入と捉えている。

 これに対して、クック理事は大統領には解任権限はないと主張し、解任処分に異議を唱えるため提訴を表明した。なお、クック理事が標的とされているのは、民主党支持者というだけではなく、FRB理事の任期満了時期が7人の中で最後になる2038年の1月末まで残されていることも要因。長期的にもトランプ米大統領は、自分の息のかかった人物をFRBの要職に就かせようとしている。

 今回の騒動は、しばらく今後の展開を見守ることになる。明白なのはトランプ政権が中央銀行の独立性を軽視し、支配下に置こうとしていること。「法の支配」の危機も懸念されており、米国の信頼性を大幅に損なうことになるだろう。
 
 米国売りだけではなく、円買い要因もドル円の重し。昨日は本邦の新発10年物国債利回りが2008年10月以来の水準まで上昇した。また、昨日発表された基調的なインフレ率を捕捉するための指標は、最頻値こそは前月から小幅に上昇。一方で、刈込平均値、加重中央値は低下したものの、円売りの反応は限られた。週末に行われたジャクソンホール会合での植田日銀総裁のタカ派発言や、ベッセント米財務長官からの外圧を受けていることなどで、日銀の9月の利上げ予想が高まっている。

 円以外では、本日は豪州から7月消費者物価指数(CPI)が発表され、豪ドルの値動きに注目したい。月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれておらず、RBAの注目度は低いとされているが、市場予想(前月比2.3%増)と結果にかい離があった場合は、市場が反応するだろう。なお、今週に入り豪ドルは対ドルで40Pipsにも満たない極めて狭いレンジでの取引が続いている。


(松井)
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