東京為替見通し=ドル円、レンジ取引継続か 高市首相発言や中東リスクで上値重くも底堅い

 昨日の海外市場でドル円は、「米国とイランの戦争終結に向けた協議は合意が近い」との一部報道をきっかけに、原油先物相場が急失速し、米長期金利が低下すると全般ドル売りが先行し一時157.83円まで弱含んだ。ただ、報道が否定されると158円前半まで下値を切り上げた。一方、ユーロドルは米長期金利が低下するとドル売りが進行し、一時1.1261ドルまで上昇した。もっとも、ドル円同様にその後は1.12ドル前半まで押し戻された。

 本日の東京外国為替市場でドル円は、引き続き狭いレンジ内で膠着した展開となりそうだ。本日発表の本邦9月貿易収支以外に目立った経済指標はなく、手掛かり難から動意を欠く見通しだ。

 昨日は東京時間に複数回158.60円の上値を試す場面があったものの、伸び悩む結果となった。米長期金利が高止まりし、原油先物にも下落の兆しが見えない以上、ドル円が崩れるシナリオは描きにくい。一方で、当局の介入警戒感がくすぶるなか、ここからあえて円売りを仕掛ける動機にも乏しいことが浮き彫りとなった格好だ。

 市場としては、27-28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、29-30日の日銀金融政策決定会合、さらには11月3日の米中間選挙という一連のビッグイベントを通過するまでは、積極的なポジションを取りづらいのが本音だろう。

 特に高市首相が国会で「強固な日本経済の構築により円の信認を高める」と強調し、市場で取り沙汰される「高市円安」「高市高金利」との見方を明確に否定したことは大きい。介入警戒域である159円・160円の大台へ向けて、リスクを冒してまでドルを買い上がる大義名分は失われたといえる。

 もっとも、中東情勢の泥沼化に伴う原油先物の高止まりは、決済通貨であるドル需要を支え続ける。これが米国のインフレ粘着性と金利高止まりにつながり、ドル円の下値を手堅く支える構造に変わりはない。

 なお、昨日は「日銀は10月会合で政策金利を据え置く公算が大きいものの、2027年度の物価見通しを引き上げる可能性がある」との関係者リークが報じられた。これは10月会合でのサプライズを回避するための観測気球(スムージング)であり、利上げ路線の継続を印象付ける意図が透ける。同時に、高市政権やリフレ政策の放棄を迫る米国に対し、日銀が「正常化の手を緩めない」姿勢を巧妙にアピールした動きとも解釈できる。


(松井)
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