東京為替見通し=ドル円、日米金利差拡大で底堅い動きか

 先週末のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。9月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことも相場の支援材料となり、一時143.46円まで上昇した。ユーロドルは世界同時株安の様相が強まる中、リスク・オフのドル買いも重しに0.9668ドルと02年9月以来20年ぶりの安値を更新した。ユーロ円はユーロドルの下落につれた売りが出て一時138.67円まで下落した。また、トラス英政権が打ち出した1972年以来の大規模な減税策と国債増発計画をきっかけに財政悪化懸念が強まり、ポンドドルは1.0840ドル、ポンド円は155.45円まで急落した。

 本日は日米でドル円の動意につながりそうな主な経済指標や注目イベントは予定されていない。先週に日米の金融政策イベントを通過し、金融政策の方向性の違いは一段と鮮明になり、両国の金利差拡大は続いている。日本が円買い介入に踏み切り、いったんドル円の一段の上昇を食い止めているが、介入効果がどこまで続くかを見極めることになる。ドル円がいつまでも上昇を続けることはあり得ないが、足もとでは日本の次の介入を警戒しつつも上値を試す動きが続くと予想される。

 市場では日本の単独介入ではその効果は限定的との見方が強い。また、為替介入で円安が止まらなければ、日銀の利上げが必要との見方も多い。日銀は先週の会合でも緩和姿勢を継続させると強調したが、円安進行で物価上昇が加速すれば、景気をけん引する消費に悪影響を及ぼしかねない。日銀は難しい対応を迫られる。

 日米金利差拡大を背景としたドル高・円安の流れは続くと想定されるが、リスク回避の円買いが強まる可能性には警戒が必要となる。世界で多くの中銀がインフレ抑制のために金融政策の引き締めを強めており、原油相場も急落するなど景気の先行きへの懸念が根強い。英国は中銀がインフレ対策として利上げを続ける一方で、英政府は大規模な減税と大幅な借り入れ増額を発表し、ポンドや英債価格が急落するなど市場に動揺を与えている。インフレ抑制と景気鈍化で世界がその対応に追われ、リスクオフムードが急速に強まる可能性はある。

(金)
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