週間為替展望(豪ドル/ZAR)-RBA、予想外の利上げペース鈍化

◆豪ドル、RBAの金利先高観の後退が今後の重しに
◆豪ドル、テクニカル面では押し目買いを進めやすい
◆ZAR、手掛かり材料難で外部要因次第

予想レンジ
豪ドル円 92.00-96.50円
南ア・ランド円 7.90-8.35円

10月10日週の展望
 豪ドルは神経質な動きが見込まれる。世界的な株安基調は今週に入って一服し、全般に買い戻し基調となっている。投資家のリスク回避姿勢も後退しつつあり、リスクに敏感な豪ドルにとってはポジティブな材料として意識されるだろう。テクニカル的に見ても、豪ドルは対ドル・対円ともに上下を繰り返しながらも徐々に下値を切り上げる展開となっており、押し目買いを進めやすい状況ではある。

 一方で、豪準備銀行(RBA)の金利先高観が後退していることは懸念材料だ。RBAは4日に開催された金融政策理事会で2.35%から2.60%への利上げを決定。25bpの利上げにとどまり、市場予想の50bpより利上げ幅は小さかった。

 以前から、RBAは議事要旨や総裁発言などで「金利が正常水準に近づいている」「金利がより正常な水準に近づくにつれて利上げペースを緩める可能性がある」ことなどに繰り返し言及していたため、今回の決定には大きな驚きはないものの、世界的に中央銀行の大幅利上げが続いている中でいち早く利上げペースを鈍化させたことを軽視するべきではないだろう。今後も、為替市場では金融政策の方向性に焦点が当たりやすい状況が続くと予想されるため、豪ドルはその点で積極的に買いを進めにくくなるかもしれない。

 来週は豪州から11日に10月ウエストパック消費者信頼感指数や9月NAB企業景況感指数の発表が予定されているが、相場への影響は限られそうだ。

 また、NZでは5日に開催された金融政策決定会合で政策金利を3.00%から3.50%へと引き上げることが決定された。50bpの利上げは市場予想通りだった。声明では、「75bpの利上げも議論された」ことが判明しており、豪州の金融政策の方向性の違いが意識されている。来週は、NZで特段重要な経済指標やイベントは予定されていない。

 南アフリカ・ランド(ZAR)も神経質な動きとなりそうだ。来週は南アフリカから特段の経済指標の発表などは予定されておらず、投資家のリスク志向などに振らされる展開が続くだろう。世界的な株安に一服感が見られていることは好感材料だが、国内情勢は依然として良好とは言えない。継続的な電力不足による計画停電の影響が懸念されるほか、最大都市ヨハネスブルグでは深刻な水不足にも陥っており、経済の下押しリスクになりかねない点には今後も注意が必要だろう。

10月3日週の回顧
 豪ドルは、方向感の乏しい動き。欧米株価動向などをにらみながら、投資家のリスク志向に合わせて上下したものの、週を通じて方向感を欠いた。RBAの利上げ幅が予想より小さかったことで売りが出る場面もあったが、相場への影響は一時的だった。ZARは週明けこそ対ドル・対円でともに買い戻しが入ったものの、一段のZAR買いを誘う材料も乏しかったことから、その後は次第に上値も重くなった。(了)
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