週間為替展望(ポンド/加ドル)- ポンド、不安材料多く上値重いか
◆トラス英首相が辞任を表明、政局不安でポンドの上値は重いか
◆翌週に英財政計画発表とBOE会合の予定、関連のヘッドラインに注目
◆加ドル、BOC会合での利上げ幅と声明内容に注目
予想レンジ
ポンド円 164.00-172.00円
加ドル円 107.00-111.00円
10月24日週の展望
クワーテング英財務相の後任として起用されたハント新財務相が早速、17日に市場に大きな混乱を与えたトラス英首相の経済対策を撤回。ひとまず市場を安定させたが、トラス英首相が辞任に追い込まれた。直後の反応としては、トラス首相の辞任表明を市場は評価しているが、英政局の先行き不透明感がさらに高まり、ポンドは神経質な動きながら上値の重い展開が見込まれる。
トラス新政権は大型減税案を目玉にしたが、政府の財政拡張と中銀の利上げという不整合な政策がマーケットの攻撃対象となった。ただ、今回の混乱はトラス氏のみに責任があるともいえない。保守党が財政再建を重視するスナク元財務相ではなく、大型減税を推進する方針を公約に掲げたトラス氏を選んだからだ。安定した経済政策では定評があるはずの保守党政権の評判が大きく揺らぐなか、世論調査で最大野党労働党の支持率が50%を超え、保守党は20%に急落した。次期党首は来週中に決定される予定だが、冬が本格化する前に国民がエネルギー価格高騰やインフレに苦しむ中、次期政権が政治の無力ぶりを改善し、国民と市場から信任を得るのは簡単ではないだろう。次期党首選にはジョンソン前首相やスナク元財務相らが出馬する見込みと伝わっている。
31日に中期財政計画の発表予定も、首相の辞任を受けて不確実性が増している。また、11月3日にはイングランド銀行(BOE)の金融政策会合が予定されており、財政計画の発表とBOE会合関連のヘッドラインに注目したい。ベイリーBOE総裁はハント財務相との会談で、以前の想定より一段と引き締め気味の金融政策を政府が対応しなければならない可能性を明確に伝えている。9月の英消費者物価指数(CPI)は前年比+10.1%と7月に記録した40年ぶりの高水準と並んだ。
加ドルは、26日のカナダ中銀(BOC)金融政策会合に注目。市場では政策金利を3.25%から3.75%に引き上げると見込んでいる。カナダのCPIは前年比で6月の+8.1%をピークに9月まで3カ月連続で伸び幅を縮小したが、基調インフレの低下を示す明確な証拠は得られておらず、BOCは現在の急速な利上げペースを続ける可能性が高い。ただ、長期のインフレ期待は緩和しており、会合の声明内容にも注目したい。BOCの調査によると、カナダ企業の過半数が今後1年以内に経済が景気後退(リセッション)入りすると予想している。米金融当局がタカ派姿勢を強め、米加金利環境は米国が優位となり、その差が拡大していることで加ドルは対ドルで上値の重い動きが続く一方で、対円では底堅い動きが見込まれる。
10月17日週の回顧
ポンドはハント財務相がトラス首相の経済対策を撤回したことを受けて買い戻しが入り、ポンドドルは1.14ドル前半まで急反発し、ポンド円は2016年12月以来の170円台をつけた。その後は売りに押されるも、トラス首相の辞任表明を受けた買いも見られた。ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまで加ドル高が進み、加ドル円は109円後半まで上昇するなど、加ドルは底堅い動きも方向感は限られた。加9月CPIは前年比+6.9%とほぼ予想通りの結果となった。(了)
◆翌週に英財政計画発表とBOE会合の予定、関連のヘッドラインに注目
◆加ドル、BOC会合での利上げ幅と声明内容に注目
予想レンジ
ポンド円 164.00-172.00円
加ドル円 107.00-111.00円
10月24日週の展望
クワーテング英財務相の後任として起用されたハント新財務相が早速、17日に市場に大きな混乱を与えたトラス英首相の経済対策を撤回。ひとまず市場を安定させたが、トラス英首相が辞任に追い込まれた。直後の反応としては、トラス首相の辞任表明を市場は評価しているが、英政局の先行き不透明感がさらに高まり、ポンドは神経質な動きながら上値の重い展開が見込まれる。
トラス新政権は大型減税案を目玉にしたが、政府の財政拡張と中銀の利上げという不整合な政策がマーケットの攻撃対象となった。ただ、今回の混乱はトラス氏のみに責任があるともいえない。保守党が財政再建を重視するスナク元財務相ではなく、大型減税を推進する方針を公約に掲げたトラス氏を選んだからだ。安定した経済政策では定評があるはずの保守党政権の評判が大きく揺らぐなか、世論調査で最大野党労働党の支持率が50%を超え、保守党は20%に急落した。次期党首は来週中に決定される予定だが、冬が本格化する前に国民がエネルギー価格高騰やインフレに苦しむ中、次期政権が政治の無力ぶりを改善し、国民と市場から信任を得るのは簡単ではないだろう。次期党首選にはジョンソン前首相やスナク元財務相らが出馬する見込みと伝わっている。
31日に中期財政計画の発表予定も、首相の辞任を受けて不確実性が増している。また、11月3日にはイングランド銀行(BOE)の金融政策会合が予定されており、財政計画の発表とBOE会合関連のヘッドラインに注目したい。ベイリーBOE総裁はハント財務相との会談で、以前の想定より一段と引き締め気味の金融政策を政府が対応しなければならない可能性を明確に伝えている。9月の英消費者物価指数(CPI)は前年比+10.1%と7月に記録した40年ぶりの高水準と並んだ。
加ドルは、26日のカナダ中銀(BOC)金融政策会合に注目。市場では政策金利を3.25%から3.75%に引き上げると見込んでいる。カナダのCPIは前年比で6月の+8.1%をピークに9月まで3カ月連続で伸び幅を縮小したが、基調インフレの低下を示す明確な証拠は得られておらず、BOCは現在の急速な利上げペースを続ける可能性が高い。ただ、長期のインフレ期待は緩和しており、会合の声明内容にも注目したい。BOCの調査によると、カナダ企業の過半数が今後1年以内に経済が景気後退(リセッション)入りすると予想している。米金融当局がタカ派姿勢を強め、米加金利環境は米国が優位となり、その差が拡大していることで加ドルは対ドルで上値の重い動きが続く一方で、対円では底堅い動きが見込まれる。
10月17日週の回顧
ポンドはハント財務相がトラス首相の経済対策を撤回したことを受けて買い戻しが入り、ポンドドルは1.14ドル前半まで急反発し、ポンド円は2016年12月以来の170円台をつけた。その後は売りに押されるも、トラス首相の辞任表明を受けた買いも見られた。ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまで加ドル高が進み、加ドル円は109円後半まで上昇するなど、加ドルは底堅い動きも方向感は限られた。加9月CPIは前年比+6.9%とほぼ予想通りの結果となった。(了)