東京為替見通し=ドル円はBOJ&FEDピボット先送り観測から続伸、RBA声明に要注目

 6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの期待が後退する中、米10年債利回りが3.6530%前後まで上昇したことで132.90円まで上昇した。ユーロドルは1.0710ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米国1月の雇用統計を受けて今年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%の可能性が高まっていることで堅調推移が予想される。

 ドル円のテクニカル分析では、第3波動(102.59円~151.95円)の半値押し127.27円が1月16日の安値127.23円で示現して、「半値戻し(押し)は全値戻し(押し)」の相場格言通りに反発、ダブル・ボトム(127.23円・128.09円)を窓(131.20円~131.52円)を空けて完成させたことで、上昇トレンドが再開する可能性(第5波動?)が高まりつつある。

 タカ派のボスティック米アトランタ連銀総裁は、「雇用統計の結果はピークレートの一段の上昇の可能性を高める。あと2回の利上げが基本シナリオ」と述べている。
 フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では、3月と5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.25%の追加利上げが続き、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%(※FF金利誘導目標5.00-25%)まで上昇し、12月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)で示されたように、今年末まで高金利が維持される可能性が高まりつつある。
 米国1月の雇用統計の発表前までは、パウエルFRB議長のハト派的な「ディスインフレ」発言もあり、3月のFOMCでの0.25%の追加利上げの後に利上げ停止となり、下半期に向けて利下げの可能性、FEDピボット(FRBの利下げ転換)がメインシナリオになりつつあった。しかし、雇用統計のポジティブサプライズを受けて、パウエルFRB議長のタカ派的発言「あと2回程度の利上げ。年内の利下げの可能性は想定せず」がメインシナリオとなりつつある。今年のFF金利引き上げ見通しは以下の通りとなる。
・第8次 2月1日:4.50-75% (+0.25%引き上げ)
・第9次 3月22日:4.75-5.00% (+0.25%引き上げと仮定)
・第10次 5月3日:5.00-25% (+0.25%引き上げと仮定)
・第11次 6月14日:5.00-25% (据え置きと仮定)
・第12次 7月26日:5.00-25% (据え置きと仮定)
・第13次 9月20日:5.00-25% (据え置きと仮定)

 12時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、現行の3.10%から3.35%への第9次金利引き上げが予想されている。注目ポイントは、声明文でのターミナルレート(利上げの最終到達点)への言及となる。
 RBAのターミナルレートの見通しは、市場筋は3.70%程度、豪4大銀行は3.35-3.85%程度で利上げ局面は終了し、年内にも利下げ局面へと移行すると見込んでいる。
 オーストラリアの第4四半期消費者物価指数(CPI)は前年比+7.8%となり、第3四半期の+7.3%を超えて、1990年6月以来の高い伸びを記録していた。豪中銀が注目しているコアインフレ率の指標である「CPIトリム平均」は前年比+6.9%と、2003年の統計開始以来の最高水準となった。また、12月のCPIは前年比+8.4%となり、11月の+7.3%、10月の+6.9%から上昇傾向にあるため、声明文では「政策金利の見通しについては、あらかじめ決まった道筋はない。データ次第」と表明することで、市場に漂っている打ち止め感を払拭する可能性にも警戒しておきたい。
 一方で、昨年11月に公表されたRBA四半期金融政策報告では、年末のCPIが8%程度でピークを迎えて、その後は鈍化していくと予想されていた。年末のインフレ率の上昇要因は、クリスマス休暇時期の国内・海外旅行需要があった模様で、RBAの想定内だったことで、利上げ停止への言及の可能性も残されている。


(山下)
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