週間為替展望(ドル/ユーロ)-米国2月の雇用・物価指標に注目

◆ドル円、2月の米国景況感指数で、物価動向や雇用情勢を見極める展開
◆2月の東京都区部CPIにも要注意
◆ユーロドル、2月ユーロ圏消費者物価指数に注目

予想レンジ
ドル円   133.00-137.00円
ユーロドル 1.0300-1.0800ドル 

2月27日週の展望
 ドル円は、2月の米国の景況感指数での雇用関連指数や物価関連指数で労働市場の逼迫感やインフレ鈍化のペースを見極めることになる。

 27日に参議院で予定されている植田次期日銀総裁候補に対する所信聴取と質疑応答は、24日の衆議院での見解とほぼ同様だと思われるものの、サプライズ的な発言には警戒しておきたい。

 米国では、1月の雇用統計、小売売上高、そして消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)を受けて、労働市場が逼迫し、インフレ鈍化のペースが鈍りつつあることが示唆された。米10年債利回りの上昇を促し、ドル高要因となった。しかし、一部の市場筋やバーキン米リッチモンド連銀総裁が指摘しているように、1月特有の季節要因による数字だった可能性があるため、今後は2月の米国経済指標で確認することになりそうだ。

 来週は、米国2月ISM製造業・非製造業景気指数、消費者信頼感指数、シカゴ購買部協会景気指数などでは、ヘッドラインの景況感だけでなく、同時に雇用や物価関連の指標を見極めていくことになる。労働市場の逼迫やインフレ再燃を示唆する内容だった場合は、FF金利のターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.25-5.50%程度まで上昇する可能性が高まるだろう。ドル買い・円売りに拍車がかかることになりそうだ。

 日本国内では、2月の全国コアCPIの先行指標となる2月の東京都区部のCPIは、前年比3.4%と予想されており、1月の4.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。予想通りならば、2月の全国コアCPIも、1月の4.2%から伸び率が鈍化する可能性が高まる。日銀新体制の下での金融政策正常化が先送りされる思惑につながり、円安要因となるだろう。ただ、リスクシナリオとしては、上昇基調を継続した場合であり、ドル円の上値を抑える要因となる。

 ユーロドルは、欧米の金融政策の乖離観測やウクライナ情勢への警戒感から、上値が重い展開が予想される。ユーロ圏2月の消費者物価指数の伸び率の鈍化が確認された場合、欧州中央銀行(ECB)理事会での利上げ休止時期が前倒しされるとの見方が強まることで、ユーロ売りに拍車がかかる可能性がある。2月のECB理事会議事録では、ターミナルレート(利上げの最終到達点)や利上げ休止時期に関する議論を見極めることになりそうだ。

2月20日週の回顧
 ドル円は、2月米製造業・サービス部門・総合PMI速報値が予想を上回ったことなどを受けて、133.93円から135.36円まで上昇した。米10年債利回りは3.81%台から一時3.97%台まで上昇した。2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、ほとんど全ての当局者が0.25%の利上げが適切であると賛同し、利上げペースの鈍化を支持していた。ユーロドルは、米10年債利回りの上昇を受けて、1.0705ドルから1.05ドル台後半まで下落した。ユーロ円はユーロドルの下落に連れて、144.16円から142円台前半まで下落している。(了)

※執筆、2月24日8時
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。