NY為替見通し=バイデン米大統領の発言に要注目か

 本日のNY為替市場では、朝方に予定されているバイデン米大統領による「歴史的な経済回復を守るため、耐性ある銀行システムをどう維持するか」に関する発言を見極めることになる。

 3月8日に米シルバーゲート・バンクが任意清算、10日には米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻、12日にはシグネチャー銀行が事業停止となり、1週間足らずで3行の金融機関が破綻したことになる。
 バイデン米政権は預金者の保護を打ち出しており、本日の発言では、金融機関へのさらなる支援策、そしてパウエルFRB議長へのメッセージなどに要注目となる。

 金融不安の高まりを受けて、21-22日米連邦公開市場委員会(FOMC)に対する予想も、先週の利上げ0.50%から0.25%とする確率が高まっている。さらに一部では、利上げ見送りの声も強まりつつあるようだ。先週は5.50~5.75%を織り込んでいたターミナル・レートに関しても、5.00~5.25%予想へ下方修正された。年後半のFOMCでは、2回の0.25%利下げも織り込み始めている。

 現在はブラックアウト期間中なので、米連邦準備理事会(FRB)高官の政策に関する発言の機会はない。しかしながらバイデン米大統領による金融政策への言及、FRB高官の代弁者であるWSJ紙「FEDウォッチャー」ニック・ティミラオス記者の発言には警戒しておきたい。

 ティミラオス記者は先週、エコノミストの見解「よほど悪い数字でなければ、0.50%の利上げ見通しは変わらない」を報じていた。しかしながら週末を経て、現状は0.25%の利上げか利上げ見送りの可能性が高まっており、同記者の意見に変化があるのか注目したい。

 なおFRBは12日、各金融機関が全ての預金者のニーズに応えられるよう図る新たな資金供給策「銀行ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」を打ち出しており、次回FOMCでの利上げの可能性を低下させている。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は一目・転換線の135.74円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)2月15日の安値132.55円。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。