東京為替見通し=ドル円、米長期金利上昇で強含み 円買い介入の可能性には要警戒か

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回る9月米製造業・サービス部門PMI速報値を受けて、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が高まり、米長期金利の上昇とともに158.40円まで上昇した。ユーロドルは、WTI原油先物価格や米長期金利の上昇を受けて1.1370ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇で続伸の可能性が高いものの、イラン情勢の行方や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒する展開が予想される。

 ドル円は、米10年債利回りが5.13%台まで上昇していることで、200日移動平均線(※158.46円)付近まで上昇している。もっとも、イラン情勢の緊張緩和の可能性や本邦通貨当局による円買い介入、あるいは7月末のような日米協調による円買い介入の可能性には引き続き警戒が必要だ。

 ベッセント米財務長官は、先日、「私には、市場にはない非対称な情報(asymmetric information)がある。私が『胴元(house)』だ。私と反対に賭けたいのなら、ご自由にどうぞ」と円売り筋に対して挑発的な発言をしていた。ドル円が「ベッセント・シーリング」と警戒されている160円水準に向けて上昇していることで、日米協調による円買い介入の現実味が帯びつつある。

 米10年債利回りの上昇に関しては、「米財務省版ツイスト」が効かなかったことで、ベッセント米財務長官が批判しているイエレン前米財務長官による短期債発行へ軸足を移す可能性には警戒しておきたい。また、米国の債務残高が40兆ドルを超え、2026年度の財政赤字が2兆ドルに迫る状況において、トランプ米政権による財政赤字削減に向けた対策が見受けられないため、米国債が格下げされる可能性にも留意すべきである。
 超党派のシンクタンク、責任ある連邦予算委員会(CRFB)によれば、もし借り入れコストが今日の水準に近いところにとどまれば、米国が1年間に支払う金利の額は2020年代末までに3倍近くに増加して2兆7000億ドルに達する可能性がある、と警告している。

 イラン情勢に関しては、イラン外務省のバガイ報道官が、ニューヨークでカタールの仲介を通じて米国と接触して、戦闘終結や米国の侵略行為の停止などの条件を伝えた、と報じられている。そして、イランのペゼシュキアン大統領は、国連総会の一般討論演説で、米国との戦争でイランが降伏することはないと述べつつも、戦争終結に向けて外交を重視する姿勢も強調した。一方、トランプ米大統領は、イランとの戦闘が終結するのは「中間選挙の直後になる」との見通しを示しており、関連ヘッドラインには注視しておきたい。

 本邦通貨当局に関しては、先週末にドル円が158.05円まで上昇した局面で、1月23日以来の円買い介入の予告としての「レートチェック」を行っており、現状の158円台での実弾介入の可能性には警戒しておきたい。

 本邦通貨当局は、1月23日にドル円が159.23円まで上昇していた局面で、米財務省と協調してドル高・円安を抑制する「レートチェック」を行い、ドル円は年初来安値となる152.10円まで下落した。その後、4月30日にドル円が160.72円まで上昇した局面で、当時としては月次で過去最大規模(※11兆7349億円)となる円買い介入を実施し、ドル円は155.04円まで下落した。そして、7月23日にドル円が163.99円まで上昇した後に、30日と31日、そして8月3日にかけて、月次で過去最大規模(※15兆3993億円)となる円買い介入を実施し、ドル円は155.23円まで下落した。

 すなわち、本邦通貨当局の「レートチェック」の水準を上回った場合は、実弾の円買い介入が実施される可能性が高いと考えられる。

 10時30分に発表される8月豪雇用統計(予想:失業率4.5%/新規雇用者数2.00万人)では、8月理事会の声明文「完全雇用水準に比べ依然としてやや引き締まった状態にある」を裏付ける内容だった場合は、9月28-29日のRBA理事会での利上げ観測が高まることになるだろう。


(山下)
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