週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、インフレ減速を見極め

◆ポンド、金融政策の不透明感強まるなか神経質
◆予想外の英インフレ加速が不安要素 
◆加ドル、インフレ減速の影響を見極め

予想レンジ
ポンド円 158.00-165.00円
加ドル円 93.50-97.50円

3月27日週の展望
 ポンドは、英金融政策の先行き不透明感が強まるなか、神経質な動きが続きそうだ。英中銀金融政策委員会(MPC)は23日、市場予想通り政策金利を4.00%から4.25%に引き上げた。2021年12月から始まった利上げ実施は11会合連続。ただ、このところ大幅な金利引き上げが続いていたが、今回は6会合ぶりに通常の変更幅0.25%に戻した。議事要旨では、「インフレ持続の兆しがあればさらなる利上げが必要」との見解が示された一方、「4-6月期にCPIは大幅に低下する」との見方も明らかに。2月に出した金融政策レポートの見通しよりも低い水準になるとしている。

 しかしながら、そのインフレはピークアウトが後ずれする可能性が出てきた。22日発表の2月英CPIは前年比10.4%上昇と市場予想や前回値を上回った。一部では昨年8月以来の10%割れも期待されていたが、逆に4カ月ぶりに前回からの加速となってしまった。英中銀は23年末のCPIを4.25%、予算責任局(OBR)にいたっては2.9%まで低下すると予測している。議事要旨でインフレ急低下が見込まれている第2四半期はまだ先ではあるが、足もとの物価上昇率が想定以上に高いことは英中銀の政策運営を難しくしてしまっている。

 加ドルは、インフレ減速の影響をしばらく見極めることになる。21日に発表された2月CPIは前年比5.2%上昇と予想伸び率5.4%からも下振れただけでなく、1年1カ月ぶりの低水準まで減速した。カナダ中銀(BOC)が金融政策を決定するうえで注視するCPIトリムも4.8%上昇と11カ月ぶりの5%割れを記録。順調なインフレ鈍化のように見えるが、統計局によれば、大幅な物価上昇だった昨年2月との基準年効果が主な要因としている。実際に食料品価格は前年比9.7%増、そのうち家庭用に絞ると10%以上の上昇率。一方で住宅関連の価格上昇は低下基調と、市場の冷え込みを示している。加経済全体を見渡すと、決してインフレ動向は手放しで喜べない。

 2月CPIの結果を受けて、来月の中銀会合では「2会合連続の政策金利据え置き」との見方がかなり有力。また米金利先安観も影響し、短期金融市場ではBOCが今夏にも利下げに踏み切ることを織り込み始めた。今後はBOCが実際にいつ緩和に舵を切るかが注目となる。暫くは金融政策への思惑で加ドルは上下することになるだろう。

3月20日週の回顧
 ポンド円は荒い動きが続いた。スイス金融再編への警戒感から売りが先行し、159円割れまで売られた。もっとも、その後は日米欧の6中銀によるドル供給強化が好感され、リスク回避の巻き戻しが進んだ。英CPIにも買いで反応し、163円台まで反発した。ただ金融不安が再び強まると159円台まで上値を切り下げている。
 
 加ドル円も売り優勢で始まったが、95円の手前で下げ止まると週半ばには97円前半まで切り返した。金融リスクへの過度な警戒感が後退したほか、原油相場が持ち直したことも加ドルの支えとなった。しかし週後半は再び95円割れまで売りに押されている。
 米金利先安観を背景に、ポンドや加ドルは対ドルでは底堅い動きとなった。(了)

(小針)
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