週間為替展望(ポンド/加ドル)-加中銀、来週会合に注目

◆ポンド、英景気鈍化は織り込み済みで下値は限定的
◆ポンド、北アイルランド問題合意は大きな買い材料とはならず
◆加ドル、来週のBOC政策会合で利上げ停止か

予想レンジ
ポンド円 161.00-167.00円
加ドル円 98.00-102.00円

3月6日週の展望
 来週、ポンド独自に手がかりになりそうな材料は乏しく、対ドルで一進一退、対円では底堅い動きが見込まれる。

 英物価高と金利上昇を背景に個人消費は今後も低調となる見通しで、4月からは法人増税の影響で企業の設備投資意欲も弱まる公算が大きい。英景気後退は織り込んでいる部分が大きく、英指標のポジティブな結果にポンド買いで反応しやすくなっており、過度なポンド売りが進む可能性は低いと見ている。英国と欧州連合(EU)は北アイルランド問題で合意に達し、ポンドの懸念材料の一つが解決された格好だが、双方の広範な貿易環境は改善されず、大きくポンド高に傾く材料にはなっていない。

 ベイリーイングランド銀行(英中銀、BOE)総裁は今週、「現段階では利上げが終わったとも、一段の利上げが必要との見解を示すべきではない」と、今後の政策に確たる見通しを示すのは時期尚早との見解を示した。景気やインフレの先行きに対する不透明感から、このようなおぼつかない表現に徹するしかなく、金融政策の判断が一段と難しくなっていることが伺える。市場ではBOEが3月会合で0.25%の追加利上げを実施し、6月を目処に政策金利は4.75%でピークを迎えると見込んでいる。今後もBOEの政策変更に絡んだ思惑で、ポンドは神経質な動きが続きそうだ。

 加ドルは8日のカナダ中銀(BOC)会合に注目。前回1月会合後に発表されたカナダの経済指標では、1月雇用データが予想を上回る強い結果となった一方で、CPIは伸びが予想以上に鈍化した。また、今週発表の10-12月期GDPは前期比横ばいとゼロ成長となり、市場予想の+1.5%やBOC予想の+1.3%を大幅に下回る結果となった。BOCの最新の四半期企業調査でも金利上昇の影響を受けて投資計画や個人消費が抑制され、今後1年間は緩やかな景気後退が起きると予想されており、BOCは来週の会合で8会合続いた利上げをいったん停止する可能性が高い。声明の内容も注目されるが、経済指標がまちまちの内容を示しており、今後もデータを慎重に見極めるとの見解が示されると見込まれる。

 また、産油国通貨の加ドルに影響が大きい原油相場は、当面方向感に欠けるも、底堅い動きが想定される。引き続き中国経済への期待感やロシアのウクライナ侵攻による供給不安が相場の支えになる一方で、物価水準や金融引き締めなど世界経済の先行き不透明感が上値圧迫要因となる。

2月27日週の回顧
 米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化観測を背景に、米長期金利の上昇に伴ったドル高の流れが継続。ポンドドルは英・EUが北アイルランド問題で合意したことが好感され、1.21ドル半ばまで買いが先行したが、ベイリーBOE総裁のハト派寄りの発言も嫌気され、1.19ドル前半に押し戻された。ドル/加ドルは値動きが限られるも、1.36加ドルを挟んで上下し、加ドルの重い動きが続いた。対円ではドル円の上昇が支えとなり、ポンド円は一時166円近辺まで上値を伸ばし、加ドル円は100円台を中心に下値の堅い動きとなった。(了)
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