株式明日の戦略-円高を嫌気して大幅安、楽観ムードが急速に冷え込む

 15日の日経平均は大幅続落。終値は372円安の37755円。米国株はまちまちも円高進行を嫌気して、寄り付きから300円近い下落。主力大型株が弱く、前場では安く始まった後も下押し圧力の強い地合いが続いた。後場のスタート直後に500円近く下げたところで売り圧力は和らいだ。しかし、下げ止まっても戻りは緩慢。300円を超える下落で取引を終えた。大型株が嫌われた一方で、新興銘柄には資金が向かった。グロース250指数は小幅安スタートから早々にプラス転換すると、後場に入って上げ幅を拡大。1%を超える上昇となり、高値圏で終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆7700億円。業種別では海運、繊維、陸運などが上昇した一方、輸送用機器、その他製品、証券・商品先物などが下落した。1Q決算や自己株取得の発表が好感されたマネジメントソリューションズ<7033.T>が後場急騰。ストップ高まで買われる場面もあった。半面、アシックス<7936.T>は1Qが前年同期比で大幅増益となったものの、好感した買いは一時的にとどまり、発表後に下げ幅を拡大。8%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり489/値下がり1098。商船三井、日本郵船、川崎汽船の海運大手3社がそろって上昇。すかいらーく、力の源、パンパシHDなど小売株に決算で強く買われるものが散見された。1:3の株式分割を発表したスクエニHDが2.4%高。グロース銘柄の注目度が高まる中、決算を材料にRettyやSynspectiveがストップ高となった。

 一方、円高進行を受けて、トヨタ、ホンダ、日産自など自動車株が軒並み大幅安。フジクラ、ソニーG、リクルートなどグロース系の銘柄が弱かった。三井住友は決算を受けて前日と同値からスタートしたものの、次第に下方向に勢いがつき、3%を超える下落。1Qが大幅最終赤字となった楽天Gが急落した。今期の減益見通しが嫌気されたシンクロフードはストップ安となった。

 日経平均は大幅安。後場は下げ幅拡大とはならなかったものの、きのうのように大きく戻すことはできなかった。円高くらいしか売り材料がない割には値幅を伴った下げとなっており、楽観ムードが急速に冷え込んでいる。グロース250指数が強いだけにリスクオフではないが、今週で決算発表がほぼ一巡するだけに、大型株を敬遠して中小型株にシフトする動きはこれまで以上に強まるかもしれない。

 本日の米国では4月の小売売上高や生産者物価指数(PPI)など注目度の高い指標を消化する。米長期金利やドル円にも大きな動きが出てくる可能性がある。15日16時時点でドル円は145円60銭近辺で推移している。現状では円高に振れてしまうと日本株は買いづらくなるだけに、145円割れを回避できるかに注目したい。
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