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東京為替見通し=ドル円、戻り売り優勢 米政局リスクがドルの重石に

 昨日の海外市場でドル円は、日米株式指数の上昇を手掛かりに一時153.76円まで強含んだ。ただ、前週分の米新規失業保険申請件数や1月米中古住宅販売件数が予想より弱い内容だったことが分かると一転下落。株が下げに転じたことも重しとなり、152.37円付近まで下押しした。ユーロドルは低調な米経済指標や米長期金利の低下を手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行すると1.1890ドルまで強含んだ。ただ、米国株が下落すると1.1856ドル付近まで下押しした。

 本日の東京時間のドル円は、依然として「高市トレード」を背景とした円売りバイアスが意識されるが、米国離れの流れに伴うドル売り圧力に加え、これまで出遅れていた円の買い戻しも入り始めており、上値は次第に重さを増しそうだ。

 市場では、衆議院選挙前から高市首相の財政拡大路線を巡る財政悪化懸念、すなわち債券売り・円売りの構図が引き続き意識されている。一方で、トランプ政権が国内問題に直面する中、対米エクスポージャーを落とす動きが強まり、ドル売りのモメンタムはむしろ加速気味だ。とりわけ対円では、衆議院選挙後の動向を見極めるまで様子見だったフローが今週に入り顕在化している。

 エプスタイン氏との深い関係が取り沙汰されているラトニック米商務長官は、これまでの発言に虚偽の疑いがあるとして、週初の米上院歳出委員会での公聴会以降、辞任圧力が一段と強まっている。さらに11日には、エプスタイン事件を巡り下院司法委員会で証言に立ったボンディ司法長官も、議員の追及に対し虚偽と受け取られかねない発言や感情的な応酬を繰り返し、十分な説明を果たさない場面が目立った。

 トランプ大統領と同様、不都合な指摘に対して根拠を示さず反論を重ねる姿勢は変わらないが、足元では身内の共和党議員からも政権運営に対する厳しい声が上がり始めている。実際、11日は共和党議員がトランプ大統領による対カナダ関税の撤回を求める決議案を可決するなど、政権との距離を置く動きが顕在化。いわば「トランプ船」から下船を模索する議員が増えつつある構図だ。

 加えて、本日までに米議会が予算を承認できなければ、1月末に成立した2週間のつなぎ予算が失効し、国土安全保障省(DHS)が部分的な政府閉鎖に陥る可能性がある。ただし、米メディアによれば、仮に短期的な政府閉鎖となった場合でも、DHS職員の大半は業務を継続する見通しと報じられている。
 
 米国離れを背景としたドル売り圧力は依然として根強いものの、昨日のユーロやポンドは前日比ほぼ横ばいで引けている。ドル安が全面化しているわけではなく、目立っているのは対円でのドル売り、すなわち円の買い戻しだ。背景には、これまで過度に織り込まれてきた「高市トレード」への期待の反動があるとみられる。

 本邦の放漫財政懸念に伴う国債売り・円売りの構図に市場が回帰する可能性は依然として残る。ただ、今週の値動きを見る限り、ドル円は上昇局面でも地合いが続かない。一部では当局によるレートチェック観測もささやかれるが、明確な材料がないにもかかわらず急反落を繰り返しているのが実情だ。「材料なき値動きは潮目の変化」との格言が正しいとすれば、足元では相場の重心が確実にシフトしつつある可能性がある。当面、「高市トレード」主導の円売りが素直に再開する展開は想定しにくい。

 なお、本日はアジア時間に市場を動意づける経済指標の発表は予定されていないが、米国入り後には1月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。

(松井)
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