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NY為替見通し=イラン戦争長期化・拡大化の恐れで単純なドル買い相場の変化には警戒

 本日のNY時間のドル円は157円台で神経質な展開が見込まれる。有事を背景としたドル買いが支えとなっているものの、その「安全通貨プレミアム」が徐々に剥落するリスクには警戒が必要だ。

 ドル円は1月23日以来となる157.80円台まで上昇。対欧州通貨ではドル高基調が継続している。もっとも、米国・イスラエルによるイラン攻撃を受けた初動のドル買いは継続しているが、この流れの変化が生じたときには気を付けておきたい。

 市場では、昨年の「12日間戦争」のような短期終結ではなく、対立が長期化する可能性を織り込み始めている。単純な「有事のドル買い」ではなく、通貨ごとのリスク耐性やエネルギー価格への感応度、さらには米経済への波及リスクを見極める選別的なフローへと移行しつつある可能性がある。地政学リスクが長期化すれば、ドルが常に一方向で買われ続けるとは限らない。NY時間は、ドル買いの持続力を試す局面となろう。

 特に変化を感じるのは、これまでリスクセンチメントに敏感だった豪ドル/ドルの反応だ。先週末クローズは0.7118ドルで、足元の豪ドル安・ドル高は緩やかな動きにとどまっている。地政学リスクの高まりの割に値幅は限定的であり、市場が単純な「有事のドル買い」一辺倒ではなくなりつつある兆しともいえる。石油備蓄が約254日分にとどまる点など中長期的な懸念は残るものの、中東から地理的に距離のある日本円に対してまでドル高が持続するかは不透明感が増している。

 円安が一方向に進みにくい背景もある。ベッセント米財務長官の意向のもと、米連邦準備理事会(FRB)がレートチェックを実施したとされる水準が158円台との観測があり、同水準が事実上の「警戒ライン」として意識されやすい。再び円安をけん制する動きが出る可能性は、上値を抑える要因となろう。

 加えて、これまでは高市政権の利上げ慎重姿勢やリフレ派審議委員の指名が円売り材料となっていた。しかし、開戦後の原油価格上昇により国内インフレ動向の先行きが読みにくくなり、金融政策を巡る思惑は一段と複雑化。為替が単純な金融相場で動く局面ではなくなりつつあることも、円安の持続性に疑問を投げかけている。

 また、戦火がイランにとどまらず中東全域へ波及するリスクも高まりつつある。アメリカ合衆国国務省は、イスラエルやカタール、UAEなどに滞在する米国人に対し退避を呼びかけており、緊張の広がりを強く示唆している。仮に紛争が地域全体へ拡大すれば、対米非難の高まりだけでなく、米国内でのテロ発生リスクも否定できない。その場合、これまで機能してきた「有事のドル買い」という構図が揺らぐ可能性がある。ドルが絶対的な安全資産とみなされなくなれば、リスク回避フローはより分散化し、ドル独歩高の持続は難しくなるかもしれない。

 
・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、1月23日NY参入後の高値158.30円台。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、2月27日高値156.23円。


(松井)
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