NY為替見通し=ドル円、米要人発言と金利動向を注視 ユーロは仏財政不安が重し

 本日のニューヨーク為替市場のドル円は、複数予定されている要人発言を確認しつつ、長期金利に左右される展開となるかもしれない。
 
 要人発言について、NY序盤にウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、その後ムサレム米セントルイス連銀総裁やボウマン米連邦準備理事会(FRB)副議長、午後にはシュミッド米カンザスシティー連銀総裁の講演が予定されている。先月29日にウィリアムズ氏が「9月の利上げ後、急いで対応する必要はない」などと発言したことなどで、10月の米利上げ観測が後退した。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」によると10月の利上げ確率は2割程度で、1週間前の7割と比べ大きく低下している様子がうかがえる。そうした中、今後の金融政策に関する発言があれば材料視されることが予想される。

 また、米10年債利回りの動向にも注目したい。昨日は一時5.324%台と、2002年以来24年ぶりの高水準を記録した。上昇要因の一つは、昨日の9月米ISM非製造業景況指数が示すように、足元の米経済が好調に推移していることだ。加えて、原油価格の高止まりによる世界的なインフレ懸念も意識されている。さらに、トランプ米大統領の「共和党が中間選挙に勝利したら一人5000ドルを支給する」との発言や、米・イラン間の対立長期化に伴う戦費拡大を受け、財政赤字の拡大懸念も強まっている。ただし、今回の上昇には米景気の堅調さという前向きな材料も含まれ、政局不安を主因とする仏の「悪い金利上昇」とは性質が異なる。このため、金利上昇局面ではドル買い圧力が強まりやすいとみる。

 今週は米国債入札が複数控えるなか、本日はNY午後に3年債入札が予定されている。巨額の財政赤字や国債発行増への懸念がくすぶるなか、弱めの結果となれば一時的に金利が上振れてドル買いに作用する恐れがある点に注意したい。そのほか、8月米貿易収支の発表も予定されている。

 他方、ユーロにとっては、引き続き仏政局不安が重しとなりそうだ。仏政府は1日に2027年度予算案を公表し、財政規律を重視する姿勢を示した。ただ、ルコルニュ政権は少数与党であるため、審議の難航は避けられない。成立には他党の協力が不可欠で、今後の推移を見守る必要がある。仮に予算案が通過に向けて前進すれば、ユーロが買い戻される可能性はある。しかし、審議は始まったばかりで、先行きは不透明だ。

 また、格付け会社ムーディーズは2日に「仏大統領選が近づく中、2027年予算案成立の見通しは極めて不透明」との見解を示した。23日にフランスの格付けを見直す予定となっており、現在の「Aa3」(見通しはネガティブ)が引き下げられる恐れがある。他の格付け会社が同様の見解を示せばユーロに下落圧力が掛かる恐れがあるので注意したい。

 これらの材料を嫌気して仏独利回り格差(スプレッド)が拡大する場面では、フランスの金利上昇が「悪い金利上昇」と受け止められ、ユーロドルは下値を探る展開が見込まれる。
 

想定レンジ上限
・ドル円は、200日移動平均線158.52円。超えると9月24日高値159.04円
・ユーロドルは、ピボット・レジスタンス2の1.1315ドル

想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線157.71円。割り込むと2日安値156.95円
・ユーロドルは、5日安値1.1161ドル


(川畑)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。