欧州マーケットダイジェスト・27日 英金利急騰・株失速・ドル高

(27日終値:28日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.87円(27日15時時点比△0.48円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=138.86円(▲0.50円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9584ドル(▲0.0066ドル)
FTSE100種総合株価指数:6984.59(前営業日比▲36.36)
ドイツ株式指数(DAX):12139.68(▲88.24)
10年物英国債利回り:4.506%(△0.262%)
10年物独国債利回り:2.231%(△0.116%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
特になし

(各市場の動き)
・ユーロドルは軟調。ロシア産天然ガスをドイツに輸送するパイプライン「ノルドストリーム」で原因不明のガス漏れが発生したと伝わると、欧州の天然ガス先物が急騰しユーロ売り・ドル買いが先行した。イタリアで極右主導の新政権が誕生する見通しのほか、ウクライナに侵攻するロシアが強硬姿勢を強めるとの警戒感もユーロの重しとなった。
 NYの取引時間帯に入ると、8月米耐久財受注額や8月米新築住宅販売件数、9月米消費者信頼感指数が予想より強い内容だったことが分かり、米10年債利回りが一時3.9901%前後と2010年4月以来の高水準を更新。全般ドル買いが優勢となり、一時0.9569ドルと日通し安値を付けた。

・ポンドドルは頭が重かった。前日と同様に欧州勢参入直後はショートカバーが先行し一時1.0838ドルと日通し高値を付けたものの、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。トラス英政権が打ち出した1972年以来の大規模な減税策と国債増発計画をきっかけに財政悪化懸念が強まる中、この日も英国債相場が大幅に下落(利回りは急騰)。英株やポンドにも売りが出やすい地合いとなった。
 NY市場に入ると、良好な米経済指標をきっかけにドル買いが優勢となり、一時1.0659ドル付近まで下押しした。
 なお、英30年債利回りは節目の5%を突破し、一時5.018%前後と02年以来の高水準を付けた。英10年債利回りも4.537%前後と08年11月以来の高水準を記録した。

・ドル円は底堅い動き。時間外の米10年債利回りが3.79%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行。16時30分前に一時144.06円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後はじりじりと下値を切り上げる展開に。NY時間発表の米経済指標が軒並み予想を上回ったことが分かると、全般ドル買いが優勢に。米10年債利回りが4%目前まで上昇したことも相場の支援材料となり、2時過ぎには144.90円と日通し高値を更新した。

・ユーロ円はじり安。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは方向感が出なかったが、NY午後に入ると弱含んだ。一時は400ドル近く上昇したダウ平均が200ドル超下落するなど、米株式相場が軟調に推移するとリスクセンチメントに敏感なオセアニアのクロス円が下落。ユーロ円にも売りが波及し、一時138.61円と本日安値を付けた。

・ロンドン株式相場は反落し、3月8日以来の安値で取引を終えた。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入ったものの、終盤失速した。英政府の大規模な減税策による財政悪化とインフレへの懸念が引き続き相場の重しとなった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株の下げが目立ったほか、HSBCやバークレイズなど金融株に売りが出た。

・フランクフルト株式相場は4日続落し、20年11月以来の安値となった。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが先行したものの、上値は重かった。イタリアで極右主導の新政権が誕生する見通しのほか、ウクライナに侵攻するロシアが強硬姿勢を強めるとの警戒感から欧州株全般に売りが出た。

・欧州債券相場は下落。英財政の悪化懸念が強まる中、英国債相場はこの日も下落した。

(中村)
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