欧州マーケットダイジェスト・26日 英金利急騰・ポンド不安定・ドル高

(26日終値:27日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.72円(26日15時時点比△0.91円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=138.95円(△0.46円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9601ドル(▲0.0028ドル)
FTSE100種総合株価指数:7020.95(前営業日比△2.35)
ドイツ株式指数(DAX):12227.92(▲56.27)
10年物英国債利回り:4.244%(△0.416%)
10年物独国債利回り:2.115%(△0.091%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
9月独Ifo企業景況感指数        84.3       88.5

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドドルは不安定な値動き。東京市場で一時1.0350ドルと史上最安値を付けた反動でショートカバーが入ったほか、「イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は市場環境について声明を発表する」との報道を受けて一時1.0931ドルと日通し高値を更新した。市場では「BOEが緊急利上げに踏み切る」との思惑も台頭していた。
 ただ、ベイリーBOE総裁が「金融市場の動向を非常に注意深く監視している」「新たな経済対策がインフレ動向に与える影響やポンド相場の下落について、次回MPC(11月3日)で検証する」「中期的にインフレ率を2%の目標に戻すために、必要に応じて金利を変更することを躊躇しない」との臨時の声明を発表すると、1.0632ドル付近まで失速した。市場が期待していた緊急利上げなどがなかったためポンド売りで反応した格好だ。

・ユーロドルは戻りが鈍い。「BOEが緊急利上げに踏み切る」との思惑でポンドドルが上昇に転じるとユーロドルにも買い戻しが先行。日本時間夕刻に一時0.9701ドル付近まで値を上げた。
 ただ、アジア時間に付けた日通し高値0.9710ドルには届かなかった。高インフレと主要中銀の大幅利上げ長期化が、ユーロ圏景気の後退懸念を強めており、ユーロ売り・ドル買いが出やすい地合いだった。3時過ぎには0.9600ドル付近まで押し戻された。
 25日投開票のイタリア総選挙では、右派政党を中心とする勢力が上下両院で過半数の議席を獲得する見通しとなり、欧州連動(EU)に批判的な政権が発足する可能性が高まった。EUの結束に影響を与えかねないとの懸念も出ており、ユーロの重しとなった面がある。

・ドル円は底堅い動き。政府・日銀による円買い介入への警戒感が根強いうえ、ポンドやユーロに対してドル売りが先行した影響で伸び悩む場面もあったが、総じて底堅く推移した。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げが続くとの見方が強まる一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持しており、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが優勢となった。2時30分過ぎには一時144.77円と日通し高値を更新した。低調な米2年債入札の結果を受けて、米長期金利が2010年4月以来の高水準を付けたこともドル買いを誘った。
 なお、黒田東彦日銀総裁はこの日、足もとの円安に関して「急速かつ一方的な動きは日本の経済にとってマイナス」と強調したほか、政府・日銀が22日に実施した円買い介入については「(為替相場の)過度な変動に対する必要な対応で適切だ」との認識を示した。

・ユーロ円は一進一退。20時30分前に一時138.80円付近まで売られたものの、23時30分前には139.52円と日通し高値を付けた。そのあとは139円台前半でのもみ合いに終始した。欧州序盤はポンド絡みの取引が中心となり、NY市場ではドル相場となったため大きな方向感が出なかった。

・ロンドン株式相場は3日ぶりに小反発。英政府の大規模な財政支出計画が財政悪化の懸念を強め、株式への売りが先行したものの、引けにかけては買い戻しが進み上げに転じた。足もとで相場下落が続いたあとだけに短期的な戻りを期待した買いが入ったもよう。

・フランクフルト株式相場は3日続落し、2020年11月以来の安値となった。主要中銀の大幅な金融引き締めが世界景気を冷やすとの警戒感から、この日も売りが続いた。ただ、足もとで相場下落が続いたあとだけに自律反発狙いの買いが入ると上げに転じる場面もあった。個別ではRWE(3.36%安)やドイツテレコム(2.63%安)、ボノビア(2.50%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。トラス英政権が大規模な減税策と国債の増発計画を打ち出したことで英財政の悪化懸念が強まり、英国債相場はこの日も暴落した(金利は急騰)。英10年債利回りは一時4.252%前後と2010年2月以来の高水準を付けた。

(中村)
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