欧州マーケットダイジェスト・28日 BOE臨時措置で英金利急低下・株反発・ドル安

(28日終値:29日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.10円(28日15時時点比▲0.51円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.22円(△2.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9730ドル(△0.0174ドル)
FTSE100種総合株価指数:7005.39(前営業日比△20.80)
ドイツ株式指数(DAX):12183.28(△43.60)
10年物英国債利回り:4.012%(▲0.494%)
10年物独国債利回り:2.120%(▲0.111%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
10月独消費者信頼感指数(Gfk調査)  ▲42.5     ▲36.8・改
9月仏消費者信頼感指数         79        82

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドドルは乱高下したものの、NY市場に入ると上昇した。英中銀(BOE)はこの日、英国債相場の急落を受けて「本日から市場安定を確保するため英国債の一時的な買い入れを実施する」「10月初旬から予定していた国債の市場売却を同月末に延期する」と表明。一時1.0838ドルまで上昇したものの、すぐに失速し1.0541ドルの本日安値まで急落した。
 ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢に。英国債の急騰(金利は急低下)を受けて、米長期金利も急低下したためドルを売る動きが先行した。欧米の長期金利が急低下したことで、株価が反発すると投資家心理が改善。これまでのリスク・オフの巻き戻しが広がった。2時30分前には1.0916ドルと日通し高値を更新した。

・ユーロドルは底堅い動き。欧州のエネルギー供給不安が再燃する中、ウクライナに侵攻するロシアが攻撃を激化させるとの観測も浮上しておりユーロ売り・ドル買いが先行した。16時前には一時0.9536ドルと2002年6月以来約20年ぶりの安値を更新した。時間外の米10年債利回りが4.0150%と08年10月以来の高水準まで上昇したことも相場の重し。
 ただ、BOEが市場安定のために臨時措置に踏み切ったことが伝わると、リスク回避の動きが後退。株価の反発も安心感につながり、ユーロが買い直された。NY市場では米国株の大幅上昇でリスク・オフの巻き戻しが加速し、一時0.9746ドルの本日高値まで値を上げた。
 なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は講演で「物価安定の回復がECBの主要課題」としたうえで今後数カ月は利上げを継続する姿勢を示した。また、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストは「10月理事会で0.50%か0.75%の利上げを実施する可能性がある」と発言した。

・ドル円は軟調。しばらくは144円台後半でのもみ合いが続いていたが、NYの取引時間帯に入ると弱含んだ。BOEの臨時措置をきっかけに英国の長期金利が急低下。米10年債利回りも3.72%台まで低下幅を拡大しドル売りを誘った。ダウ平均が一時530ドル超上昇するなど、米国株が大幅に反発すると投資家のリスク回避姿勢が後退しドル売りが活発化。前日の安値144.06円を下抜けて一時143.91円まで下げ足を速めた。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時112.59まで低下した。

・ユーロ円はしっかり。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、米国株高に伴う円売り・ユーロ買いが出て一時140.29円まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は反発。BOEが「市場安定を確保するため英国債の一時的な買い入れを実施する」と発表したことで、英国債相場が大幅に反発し、株式の買い戻しを誘った。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株の上昇が目立ったほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株に買いが入った。

・フランクフルト株式相場は5日ぶりに反発。前日までに4日続落し、2020年11月以来の安値を更新したあとだけに押し目買いなどが入った。BOEが一時的な国債買い入れを発表したことで、欧州長期金利が低下したことも投資家心理の改善につながった。個別ではボノビア(3.61%高)やザランド(2.88%高)、メルク(2.39%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は上昇。BOEが「長期の英国債を購入し、10月3日に予定されていた保有国債の売却(量的引き締め)の開始を同月31日まで遅らせる」と表明したことで、英国債が急騰。独国債にも買い直しが入った。

(中村)
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