週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、財政計画待ちで様子見か

◆BOE、大幅利上げに踏み切るも、経済縮小に強い警戒感示す
◆ポンド、上値重いも財政計画待ちで様子見か
◆加ドル、ドル高と世界の景気鈍化が重しも下押しは限定か

予想レンジ
ポンド円 162.00-170.00円
加ドル円 106.00-111.00円

11月7日週の展望
 今週にイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策会合を通過し、来週は7-9月期GDPなど英経済指標の結果が注目されるが、翌週17日に発表予定の中期財政計画の内容が目先のポンドにとっては一番の手がかり材料であり、関連のヘッドラインにも留意したい。

 BOEは市場予想通りに0.75%の大幅利上げに踏み切り、今後さらなる利上げが必要になる可能性があるとの認識を示した。一方で、すでに始まっている経済の縮小は2年続き、2008-09年の金融危機時よりも長引くとの見通しを示した。また、英経済は第3四半期に後退局面に入り、2024年半ばまで2.9%縮小すると予測した。今週発表の9月住宅ローン承認件数は前月から減少した。個人向け融資も伸びが鈍化し、英経済が今後一段と厳しい状況に陥る可能性を示唆する内容となった。9月の株安・債券安・通貨安のトリプル安に見舞われた相場は巻き戻したが、スタグフレーションへの警戒感は根強く、ポンドの重い動きが続きそうだが、財政計画を見極めたいこともあって、来週は様子見ムードが広がる可能性もある。

 17日に中期財政計画と併せて、今年3月以来の成長・借り入れ見通しも公表する予定だ。英政府の関係者は、財政赤字を埋めるため全国民に税負担の拡大が求められるとの見方を示した。また、英財務省の声明によると、スナク首相とハント財務相は「極めて大規模な財政赤字について話し合い、増税と支出で厳しい決断が必要になるとの見解で一致した」もよう。景気後退は確実視され、強力な経済政策が必要となり、財源を含む具体策が示されるかどうかが注目される。

 加ドルは、今週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、ドル高の流れが変わっていないことが対ドルでの重しとなりそうだ。ただ、カナダ中銀(BOC)は先んじて利上げ幅を縮小させている。米国との金融政策格差ないしは金利差が拡大するには至らず、対ドルでの下押しは限られるだろう。米加両金融当局が揃って金融引き締めのペースを調整する方向となりつつある。対円では日加政策見通しの違いを背景に底堅い動きが続きそうだが、世界の景気鈍化への懸念が強まり、リスクオフの円買いが強まる可能性には警戒したい。

 来週は加国内で主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ドルや円など外部要因に左右されそうだ。また、資源国通貨として原油価格の推移が鍵を握るが、原油価格は世界的な景気減速による需要の減退懸念が上値を圧迫するも、OPEC(石油輸出国機構)プラスの協調減産合意を支えに底堅い動きが見込まれ、加ドルの下支えとなりそうだ。

10月31日週の回顧
 今週は米金融政策イベントを受けて全般ドル高が進んだ。ポンドはBOE政策会合を受けて売りが加速し、ポンドドルは1.11ドル半ば、ポンド円は165円前半まで下落した。ただ週末にかけてはリスク回避の巻き戻しもあり、対ドルでは1.13ドル台を回復した。
 加ドルはほかの主要通貨に比べると下押しは限られた。週末にかけては、強い10月加雇用統計や大幅上昇の原油相場を受けて加ドル買いが急ピッチで進んだ。対ドルでは1.34加ドル台、対円でも109円台まで加ドル高に振れた。(了)
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