NYマーケットダイジェスト・30日 FRB議長発言で株高・金利低下・ドル安

(30日終値)
ドル・円相場:1ドル=138.07円(前営業日比▲0.56円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=143.68円(△0.42円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0406ドル(△0.0076ドル)
ダウ工業株30種平均:34589.77ドル(△737.24ドル)
ナスダック総合株価指数:11468.00(△484.22)
10年物米国債利回り:3.61%(▲0.13%)
WTI原油先物1月限:1バレル=80.55ドル(△2.35ドル)
金先物2月限:1トロイオンス=1759.9ドル(▲3.8ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は3日続落。11月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が12.7万人増と予想の20.0万人増を下回ったことが分かると全般ドル売りが先行したものの、その後発表の7-9月期米国内総生産(GDP)改定値や個人消費、コアPCEが予想を上回ったことが伝わると、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢になった。市場では「月末のロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測された」との声も聞かれ、一時139.89円と日通し高値を更新した。
 ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で「利上げペースを緩めることは理にかなっている」「利上げペースを緩める時期は早ければ12月となる可能性」と発言すると、一転ドル売りが優勢に。米長期金利が急低下したことも相場の重しとなり、5時30分過ぎに一時137.65円と日通し安値を更新した。
 なお、パウエル氏は12月の利上げ減速を示唆した一方で、「インフレとの闘いは終了からほど遠い」「金利は一段と上昇し、景気抑制的な水準に当面とどまる」と注意を促した。また、「ターミナルレート(利上げの最終到達点)は9月時点の予測よりもやや高くなる可能性が高い」と述べた。

・ユーロドルは4日ぶりに反発。低調なADP全米雇用報告をきっかけにユーロ買い・ドル売りが先行すると、23時30分過ぎに1.0400ドルまで値を上げたものの、その後失速した。予想を上回る7-9月期米GDP改定値や月末のロンドン・フィキシングに絡んだドル買いが入り、一時1.0291ドルと日通し安値を更新した。市場では「パウエル氏が講演でタカ派的な姿勢を打ち出す」との観測もあった。
 ただ、パウエル氏の講演を受けて米利上げ減速観測が強まると一転ドル売りが優勢に。5時30分過ぎには一時1.0429ドルと日通し高値を更新した。

・ユーロ円は3日ぶりに反発。24時過ぎに一時144.85円と日通し高値を付けたものの、4時過ぎには143.38円付近まで下押しした。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸。パウエルFRB議長が講演で「利上げペースを緩めることは理にかなっている」「利上げペースを緩める時期は早ければ12月となる可能性」と発言すると、利上げ減速観測が強まり株式への買いが膨らんだ。「利上げによる経済の急降下は望まない」「ソフトランディングの可能性は十分にある」と述べたことも投資家心理の改善につながり、ダウ平均は268ドル安から737ドル高まで一転上昇した。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに急反発。米長期金利の低下を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。

・米国債券相場で長期ゾーンは反発。予想を上回る7-9月期米GDP改定値などを受けて売りが先行したものの、パウエルFRB議長の講演で米利上げ減速観測が強まると一転買いが膨らんだ。利回りは3.79%台から3.59%台まで急低下した。

・原油先物相場は3日続伸。中国が「ゼロコロナ」政策を緩和するとの期待が高まり、エネルギー消費大国の中国の需要が回復するとの楽観的な見方を背景に買いが優勢となった。また、米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で原油在庫が大幅減少したことや、パウエルFRB議長の発言を受けてドル安が進んだことも支えとなった。

・金先物相場は小反落。米長期金利の上昇や為替相場でのドル買いを眺めながら売りに押された。ただ、パウエルFRB議長が12月にも利上げペースを緩める可能性を指摘したことを受けてドルが下落し、ドル建ての金に買いが入り、通常取引終了後には上昇に転じている。

(中村)
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