週間為替展望(ドル/ユーロ)-米2月雇用統計と日銀会合に注目

◆ドル円、2月の米国雇用統計と日銀金融政策決定会合に注目
◆パウエルFRB議長の議会証言、3月FOMCでの利上げ幅を見極める
◆ユーロドル、指標結果でECBのターミナルレートを探ることに

予想レンジ
ドル円   134.00-139.00円
ユーロドル 1.0400-1.0900ドル 

3月6日週の展望
 ドル円は、パウエルFRB議長の議会証言、2月の米国雇用統計、黒田日銀総裁にとって最後となる日銀金融政策決定会合の結果や記者会見を見極めることになる。

 先ず、7日と9日のパウエルFRB議長の議会証言では、1月のインフレ指標がインフレ抑制ペースの鈍化を示したことで、タカ派的な見解が予想される。2月のFOMC後の会見では、「経済がFOMC当局者の予測通りに展開した場合、今年中の利下げは想定していない」と述べていた。21-22日のFOMCでの利上げ幅が0.25%なのか、0.50%なのかを証言内容から見極めることになる。

 また、10日に発表される米国2月の雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比20.0万人で1月の51.7万人から大幅に減少。失業率は3.4%で1月と変わらずと見込まれている。1月の非農業部門雇用者数は、バーキン米リッチモンド連銀総裁が指摘しているように、1月特有の季節要因による数字だった可能性があるため、増加幅の減少が見込まれているものの、1月の速報値の下方修正などのネガティブサプライズには警戒しておきたい。昨年1月は速報値の46.7万人が36.4万人へと下方修正されている。

 日本国内では、9日に衆議院で日銀正副総裁人事案の採決が予定されている。2008年3月の武藤日銀副総裁の総裁昇格案は、民主党の反対で否決されたが、今年は自民党が多数派のため可決される見通し。
 
 また、9-10日に開催される黒田日銀総裁にとって最後となる日銀金融政策決定会合では、次期日銀総裁候補の植田氏が「現状の金融緩和策は適切。イールドカーブコントロール(YCC)に関しては、昨年12月の運用見直しを見守る」と述べたように、現状維持が予想されている。しかし、一部では新体制となる日銀が異次元緩和の出口戦略を円滑に進めやすくするために、緩和縮小に踏み切る可能性も警戒されている。黒田日銀総裁の最後の記者会見では、YCCやマイナス金利の解除時期への言及には警戒しておきたい。

 ドル円の上値を抑える材料としては、3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)が挙げられる。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げ長期化観測から底堅い展開が予想される。3月のECB理事会での0.5%の追加利上げは織り込み済みであり、ユーロ圏小売売上高などで、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の水準を見極めて行くことになる。3月期末決算に向けた本邦機関投資家のレパトリがユーロ円の上値を抑える可能性には警戒しておきたい。

2月27日週の回顧
 ドル円は、FRBによる金融引き締めの長期化観測が高まり、米国債市場で全ての年限で利回りが4%を上回ったことで、135.26円から137.09円まで上昇した。ユーロドルは、2月独CPI速報値が予想を上回り、ECBの利上げ長期化観測が強まったことで、1.0533ドルから1.0691ドルまで上昇した後、1.05ドル台後半まで反落した。2月ユーロ圏CPIは前年比+8.5%だった。(了)
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