東京為替見通し=ドル円、米10年債利回り3.95%台で上値が重い展開か

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.95%台まで低下したことで135.75円まで反落した。ユーロドルは1.0589ドルから1.0639ドルまで上昇した。ユーロ円は144.30円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが3.95%台に低下していること、明日からの重要イベントに対するリスクシナリオ、そして3月期末決算に向けたレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)などで上値が重い予想される。

 先週2日のドル円は、米10年債利回りが4.08%台まで上昇したことで137.09円まで上昇したものの、200日移動平均線(137.27円)の関門に阻まれた。3日は米10年債利回りが3.95%台まで低下したことで135.75円まで反落したものの、一目・転換線135.58円で下げ止まった。200日移動平均線を上方突破するには、明日のパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派発言、10日の黒田日銀総裁最後の日銀金融政策決定会合での現状維持、米2月雇用統計のポジティブサプライズなどを待たなければならないのかもしれない。

 7日の米上院銀行委員会でのパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言では、2月のFOMC後の会見での「経済がFOMC当局者の予測通りに展開した場合、今年中の利下げは想定していない」というタカ派的な見解が予想される。すなわち、1月の雇用統計、小売売上高、物価指数(CPI、PPI、PCE)は物価下げ止まりの中での労働需給の逼迫と個人消費回復、すなわちゼロ・ランディングの可能性が示されたため、FOMC当局者の予測通りに展開している。パウエルFRB議長がFF金利先物市場が示唆する3月、5月、6月の追加利上げと年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.25-5.50%を肯定する可能性が高まっている。

 9日の衆議院での日銀正副総裁人事の採決は、2008年3月の武藤日銀副総裁の総裁昇格案は民主党の反対で否決されたが、今年は自民党が多数派のため可決される見通しとなっている。
 9-10日の黒田日銀総裁にとっての最後の日銀金融政策決定会合では、3月の期末決算を控えて、国債価格の下落は望ましくないため、現状の金融政策の維持が予想されている。リスクシナリオとしては、新体制となる日銀が異次元緩和の出口戦略を円滑に進めやすくするため、緩和縮小に踏み切る可能性が警戒されている。3日のオプション市場では、イールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅再拡大に備えた1週間物のドルプット・円コールの取引が話題になっていた。
 日本国債10年物利回りも、YCC許容変動幅上限の0.50%付近で高止まりしている。

 そして今週の最大の注目ポイントである2月の非農業部門雇用者数は、1月の前月比+51.7万人が+20.0万人程度に増加幅が減少し、1月分も昨年同様に下方修正される可能性が警戒されている。


(山下)
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