東京為替見通し=ドル円は米10年債利回り低下で続落か、豪ドルはRBA金融政策に注目

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、3月米ISM製造業景気指数が46.3と予想47.5を下回ったことで、米長期金利の低下に連れて132.21円まで下落した。ユーロドルは、ホルツマン・オーストリア中銀総裁発言「5月に0.50%の利上げを実施する可能性はまだ残っている」や低調な米経済指標を受けて1.0917ドルまで上昇した。ユーロ円はユーロドルの上昇につれた買いで144.94円まで上昇後、ドル円の下落につれた売りで143.90円付近まで反落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けての軟調推移が予想され、豪ドルは豪準備銀行(RBA)理事会での金融政策と声明に注目する展開となる。

 3月米ISM製造業景気指数は46.3(2月47.7)、雇用指数は46.9(2月49.1)、物価指数は49.2(2月51.3)へ悪化し、国内総生産(GDP)に換算すると-0.9%になることが発表されたことで、米10年債利回りは一時3.398%まで低下し、ドルは全面安の展開となっている。

 ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、日足一目均衡表・基準線133.78円や雲の下限133.89円などが抵抗帯となっており、雲の下限132.36円を下回って引けた場合、三役逆転の強い売りシグナルが点灯するため、警戒しておきたい。

 8時50分に発表される日本の3月のマネタリーベースは、昨年9月に初めて前年割れして以来の減少傾向が続いていることが見込まれている。2月は前年比-1.6%だった。
 2月末の残高は、651兆8371億円となっており、2013年4月の黒田日銀総裁による量的・質的金融緩和(QQE)発動時の134兆7413億円から4.8倍に増えている。黒田日銀総裁は、「2年間でマネタリーベースを2倍にしてインフレ目標2%を達成」と述べていたが、インフレ目標2%を達成できたのは、9年後の2022年4月に662兆1323億円に達した時だった。
 日銀が供給してきたマネタリーベースは、市中銀行による与信の拡大に使われたわけではなく、日銀当座預金口座への預金として積み上げられてきており、付利は、マイナス金利、ゼロ金利、0.10%の3階層に分類されている。
 植田次期日銀総裁が金融政策の正常化に踏み出した場合、日銀当座預金の利払いの増加というマイナス要因と保有国債の評価損に直面することになる。
 内田日銀副総裁は、先日の国会での答弁で、「イールドカーブ全体が1.5%上昇すれば、保有国債は約50兆円程度の評価損になる」と述べている。

 13時30分に発表されるRBA理事会による政策金利は、前回の議事要旨で「次回会合で利上げ休止について再検討する」と言及されたことで、3.60%での政策金利据え置きが見込まれている。声明文とともに、市場筋によるシナリオを整理しておきたい。
・タカ派:4月と5月の連続利上げ
・ややタカ派:4月の利上げと5月の利上げ休止
・ややハト派:4月据え置きと5月の利上げ
・ハト派:4月と5月の利上げ休止



(山下)
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