NY為替見通し=トランプ米政権の内憂外患の影響を見極める展開か

 本日のNY為替市場のドル円は、明日のトランプ米大統領の79歳の誕生日を控えて、内憂としての全国規模の抗議デモと外患としてのイスラエルとイランの軍事対立の影響を見極めていく展開となる。

 イスラエルがイランの攻撃に踏み切ったことで、最悪のシナリオとして、第5次中東戦争に繋がった場合、有事のドル買い要因となる。しかし、米国が介入した場合、ドル売り要因となりかねないため、今後の推移を見守っていくことになる。

 6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:53.6)では、1年先のインフレ期待(※5月分6.6%)や5-10年先のインフレ期待(※5月分は4.2%)に注目しておきたい。
 先日ニューヨーク連銀が発表した5月の消費者調査によると、1年先のインフレ期待は3.2%(4月は3.6%)、3年先のインフレ期待は3.0%(4月は3.2%)、5年先のインフレ期待は2.6%(4月は2.7)と、インフレ期待は全期間において低下していた。

 米国の5月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)も伸び率が鈍化しており、今後のインフレの道筋を巡る懸念が緩和しつつあることで、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのトランプ関税に対する「不確実性(uncertainty)」も後退する可能性が高まりつつある。

 昨日発表された米5月卸売物価指数(PPI)では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している「PCEデフレーター」の算出に用いられる項目が低下していたことで、5月PCEデフレーターの伸び率鈍化観測が高まっている。
 
 懸念材料としては、中東情勢の緊迫化を受けて原油相場が急騰しつつあり、原油高による物価上昇懸念が高まっていることが挙げられる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、10月FOMCでの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-4.00%と見込まれている。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、144.57円(6/12高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、142.38円 (6/3 安値)


(山下)
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