東京為替見通し=ドル円、GPIF 関連報道の続報やイラン情勢に要警戒か

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、WTI原油先物価格の下落に連れ安となり161.28円まで下落後、原油下落の一服により161.70円台まで持ち直した。ユーロドルはトランプ米大統領が「イランへ停戦が終了したことを明確に通告した」とSNSに投稿したことで1.1412ドルまで値を下げた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、先週の片山財務相の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国内金融資産への投資拡大検討発言の続報やイラン情勢に関するヘッドラインなどを注視していく展開が予想される。

 米国は、先週末に暫定停戦期間に入ってから3度目となるイラン空爆を行っており、イランによるホルムズ海峡封鎖などの報復措置に警戒していくことになる。

 6月30日に発表された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2026)原案を受けた「骨太ショック」により、7月に入るとドル円は1986年以来の162.84円まで上昇し、新発10年物国債利回りは1996年以来の2.90%台まで上昇していた。しかし、21日に閣議決定が予定されている骨太の方針では、注釈の部分に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」とする日銀法第3条について言及される模様で、日本銀行の独立性が担保される見込みとなった。

 さらに、片山財務相がGPIFなど年金基金による国内金融資産への投資拡大を促す施策の検討を進める考えを明らかにしたことで、ドル円は161円台まで下落し、新発10年物国債利回りは2.70%付近まで低下している。

 GPIFなど年金基金の国内回帰が促されれば、本邦機関投資家も同様のポートフォリオ変更、あるいは外債投資分のヘッジ比率の引き上げ(外貨売り・円買い)要因となり、円・キャリートレードの手仕舞いを促す要因となる。

 GPIFの2025年度末のポートフォリオ(総資産:293兆6437億円)は以下の通りとなっている。1%のポートフォリオの変更は約3兆円程度となる。
【国内】
・株式:23.81% 71兆3905億円(※25%±6%)
・債券:26.91% 80兆6791億円(※25%±6%)
【外国】
・株式:24.80% 74兆3569億円(※25%±6%)
・債券:24.48% 73兆3990億円(※25%±5%)

 詳細は不明だが、外国株式が24.80%となっている部分を下限の19%程度に減らし、外国債券が24.48%となっている部分を下限の20%程度に減らして、オルタナティブ投資などを通じて国内の投資を拡大する可能性が想定される。

 さらに、これまでの骨太の方針などで、円安対策として俎上に挙がっていたレパトリ減税の可能性にも警戒しておきたい。ブッシュ政権やトランプ第1次政権は、米国多国籍企業の海外留保利益を米国内に還流させるためレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)減税措置を打ち出した。日本も日本企業の海外内部留保利益を国内に還流させる減税措置により、円安を抑制し、国内での投資を促す政策に注目しておきたい。


(山下)
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