東京為替見通し=ドル円、6月輸入物価指数を確認しつつイラン情勢と介入に要警戒か

 9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、WTI原油先物価格の下落を受けて米10年債利回りが低下したことに伴い、162.26円付近まで下押ししたが、その後は162.35円を挟んだ動きが続いた。ユーロドルは1.1421-1.1446ドルの狭いレンジにとどまった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、6月輸入物価指数を確認しながら、イラン情勢に関するヘッドラインや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。

 8時50分に発表される6月企業物価指数は前月比+0.4%、前年比+6.8%と予想されており、5月の前年比+6.3%からの伸び率の加速が見込まれている。
 5月の輸入物価指数は前年比+25.5%となり、4月の+21.0%、3月の+8.1%、2月の+2.7%から、円安の進行に連れて上昇基調にあり、6月は、原油価格の落ち着きを受けて上げ止まっているのか否か、要注目となる。

 内閣府の「短期日本経済マクロ計量モデル(2022年版)」によると、10%の円安による物価押し上げ効果は+0.27%程度とのことである。ドル円は、2022年の115円程度から直近162円まで47円(+40%)上昇している。

 しかし、輸入物価指数が市場予想を上回れば、本来であれば日銀の追加利上げ観測につながる可能性がある。しかし、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2026)原案で日銀の利上げが牽制されていたことで、目先の金融政策には影響はないと思われる。
 
 一方、輸入物価指数の伸び率が低下し、163円をうかがう展開となれば、本邦通貨当局による円買い介入の可能性に警戒しておきたい。

 骨太の方針原案では、高市政権が目指す「強い経済」の実現には、日本銀行の適切な金融政策運営が「非常に重要だ」として、日本銀行に対して、「日本銀行法第4条と政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携」するように求めていた。
 しかし、報道によると、注釈の部分に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」とする日銀法第3条について言及するとのことである。

 骨太の方針原案を受けて、債券市場では財政悪化懸念により、新発10年物国債利回りは1996年以来の2.9%台に上昇し、節目となる3.0%を射程に捉えつつある。当時は、1994年の5%台からの低下途上だったが、翌1997年には、日本やアジアでの金融危機が勃発した。

 債券市場の売り手は、市場が当該国家の財政規律の弛緩を糾弾することで、「債券自警団」と呼ばれるが、「責任ある積極財政」の無責任性、すなわち太い骨の内部が「骨粗しょう症」にかかる可能性への警鐘なのかもしれない。
 また、骨太の方針での財政運営の目標については、「国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を中核に位置付ける」とされたが、金利上昇は債務の増大につながる。

 ドル円相場も1986年以来の162円台に乗せて、市場では200円を射程に捉えつつあるとの見立てが浮上している。当時は、1985年のプラザ合意の時の240円付近から、1988年の120円台に向けた下落途上だった。

(山下)
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