東京為替見通し=ドル円、イラン情勢と円買い介入の可能性に要警戒か

 8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時162.71円まで上値を伸ばした。トランプ米大統領がイランへの攻撃を示唆したほか、イラン側もホルムズ海峡を完全に閉鎖すると警告するなか、WTI原油先物価格が76ドル台に乗せ、米10年債利回りが上昇したことでドルが買われた。ユーロドルは中東有事のドル買いで1.1391ドルまで値を下げた後、1.1430ドル台まで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米大統領のイラン攻撃警告を受けて原油価格が上昇基調にあるため上値を探る展開が見込まれる一方、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒していく展開が予想される。

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加しているトランプ米大統領は、イランとの戦闘終結に向けた停戦の覚書は「終わった」と述べ、再びイランを攻撃すると警告した。そして、米中央軍はイランに対する空爆を開始したと発表している。
 イラン側も、軍事攻撃を受けた場合、中東の要衝であるホルムズ海峡を「完全に閉鎖する」と警告しており、本日もイラン情勢に関するヘッドラインや原油価格の動向を注視していく展開となる。

 ドル円は、6月17日のタカ派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やドット・プロット(金利予測分布図)、ウォーシュFRB議長の利上げに前向きな見解、「ウォーシュ・ショック」により、1986年以来の162円台まで上昇してきた。

 FOMC議事要旨では、すべての参加者が政策金利の据え置きを支持したものの、高インフレへの懸念が強まっていることが共有され、金融政策の引き締めが必要となる可能性が高いこと、一部の参加者からは直ちに利上げすべきとの見解が確認された。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、米6月の雇用統計やシントラ会合でウォーシュFRB議長が7月利上げを明言しなかったことで、FF金利3.75-4.00%への利上げ時期は9月FOMCとなっている。
 来週14日に予定されているウォーシュFRB議長の議会証言で、利上げ時期を探ることになる。

 また、ドル円の上昇要因としては、6月30日に公表された経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案での「骨太ショック」が挙げられる。
 原案では、財政政策での「財政健全化」の削除は債券売り・円売り要因、金融政策での日銀に対する「適切な金融政策運営」も利上げ牽制で円売り要因となっている。
 ドル円は1986年以来の162円台まで円売りが進み、新発10年物国債利回りは1996年以来の2.87%台まで債券売りが進んでいる。
 報道によると、政府が日本銀行の金融政策に関する記述の一部修正を検討している、と伝わっており、今月中旬に予定されている骨太の方針2026の公表を待つことになる。
 本日発表される7月日銀地域経済報告(さくらレポート)では、物価情勢を確認しておきたい。

 一方、ドル円の上値を抑えているのは、「財務省が今後、市場に事前警告を送るのではなく、予告なしに円買い介入を行う案が検討されている」(複数の政府関係者)との報道を受けた本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感だと思われるため、本日も注意が必要になる。

 また、日本の債券売りが米国債売りに波及しつつあるため、1月23日にベッセント米財務長官主導で行われた日米協調でのレートチェックの再現、日米協調でのドル高・円安抑制の可能性にも警戒しておきたい。
 当時、ベッセント米財務長官は日本の長期金利上昇が米金利上昇に波及していると示唆し、円売りと日本国債売りがスパイラル的に進み、それが米国債市場へ悪影響を及ぼすことを未然に防ぐ狙いがあったと考えられる。

(山下)
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