東京為替見通し=日米長期金利がともに上昇、ドル円は159円台で攻防
17日の海外為替市場でドル円は一時159.60円まで上昇した。強い米住宅指標を受けて長期金利が上昇し、また大幅に続伸したWTI原油先物もドル買い円売りを促した。ユーロドルは続伸も上昇幅は縮小。欧州前半につけた1.1614ドルをこの日の高値に1.15ドル後半まで上値を切り下げた。
本日の東京為替市場でドル円は、長期や超長期の金利上昇圧力が世界的に高まる中、日米10年物国債の動向を睨みながらの取引となりそうだ。基本的には底堅い展開が続きそうだが、目先は先月23日高値から、通貨当局による円買い介入でつけた3日安値まで下落した幅の「半値戻しとなる159.61円」が意識される水準。
17日の米30年債利回りは一時5.31%まで上昇し、2007年6月以来19年ぶりの高水準となった。10年債利回りも上昇する一方、2年債はむしろ低下基調にあり、利回り曲線がねじれるように傾きを強める「ツイスト・スティープ化」が進んでいる。
米国の財政悪化や国債供給への警戒、AI関連投資と資金を奪い合う構図など、複数の要因が重なった結果とみてよいだろう。長期金利の上昇が金融引き締め的に作用する一方、財政悪化への警戒がドルの重しにもなり得るという、方向感の掴みにくさがドル円のボラティリティを高めやすい。
日本の長期金利上昇も無関係ではない。これまで米国債の主要な買い手だった日本勢の資金が国内に還流するとの思惑は、米国債市場にとって無視できない重荷になっている。実際、日本の30年債利回りも17日に4.08%まで上昇しており、日米ともに超長期債が売られている。
中東情勢では、トランプ米大統領が17日、イランとの覚書(MOU)延長の意向はないと表明し、「イランに核兵器は決して保有させない」と強硬姿勢を示した。イラン側も、暫定合意の完全履行がなければホルムズ海峡周辺で攻撃に踏み切ると警告し、「完全な攻撃的姿勢」への転換を表明した。オマーン・カタールとの緊張緩和協議も並行しているが、強硬発信の応酬が続く以上、事態の落としどころは見えていない。原油高が続けば、有事のドル買いに加え、日本の輸入インフレを通じた円売り圧力にもつながりやすい。
日本国内では、高市政権の財政運営を巡る懸念が根強い。政権は基礎的財政収支(PB)の黒字化目標を「数年単位で確認する」方向へ見直す方針とされ、エコノミストの半数超がこれを財政規律の低下と受け止めている。市場は年間10兆円規模の赤字拡大までは織り込み済みとみられるが、今年は特例公債法案の提出年にも当たり、財政運営の節目として意識されやすい。財政規律への疑念が強まれば、日本国債と円が同時に売られる展開もくすぶる。
もっとも、日銀の9月追加利上げ観測は円買い材料ではあるものの、本邦金利の上昇ペースは米国には及ばない。そのため、これまで通りに円買いは限定的にとどまりそうだ。
(小針)
本日の東京為替市場でドル円は、長期や超長期の金利上昇圧力が世界的に高まる中、日米10年物国債の動向を睨みながらの取引となりそうだ。基本的には底堅い展開が続きそうだが、目先は先月23日高値から、通貨当局による円買い介入でつけた3日安値まで下落した幅の「半値戻しとなる159.61円」が意識される水準。
17日の米30年債利回りは一時5.31%まで上昇し、2007年6月以来19年ぶりの高水準となった。10年債利回りも上昇する一方、2年債はむしろ低下基調にあり、利回り曲線がねじれるように傾きを強める「ツイスト・スティープ化」が進んでいる。
米国の財政悪化や国債供給への警戒、AI関連投資と資金を奪い合う構図など、複数の要因が重なった結果とみてよいだろう。長期金利の上昇が金融引き締め的に作用する一方、財政悪化への警戒がドルの重しにもなり得るという、方向感の掴みにくさがドル円のボラティリティを高めやすい。
日本の長期金利上昇も無関係ではない。これまで米国債の主要な買い手だった日本勢の資金が国内に還流するとの思惑は、米国債市場にとって無視できない重荷になっている。実際、日本の30年債利回りも17日に4.08%まで上昇しており、日米ともに超長期債が売られている。
中東情勢では、トランプ米大統領が17日、イランとの覚書(MOU)延長の意向はないと表明し、「イランに核兵器は決して保有させない」と強硬姿勢を示した。イラン側も、暫定合意の完全履行がなければホルムズ海峡周辺で攻撃に踏み切ると警告し、「完全な攻撃的姿勢」への転換を表明した。オマーン・カタールとの緊張緩和協議も並行しているが、強硬発信の応酬が続く以上、事態の落としどころは見えていない。原油高が続けば、有事のドル買いに加え、日本の輸入インフレを通じた円売り圧力にもつながりやすい。
日本国内では、高市政権の財政運営を巡る懸念が根強い。政権は基礎的財政収支(PB)の黒字化目標を「数年単位で確認する」方向へ見直す方針とされ、エコノミストの半数超がこれを財政規律の低下と受け止めている。市場は年間10兆円規模の赤字拡大までは織り込み済みとみられるが、今年は特例公債法案の提出年にも当たり、財政運営の節目として意識されやすい。財政規律への疑念が強まれば、日本国債と円が同時に売られる展開もくすぶる。
もっとも、日銀の9月追加利上げ観測は円買い材料ではあるものの、本邦金利の上昇ペースは米国には及ばない。そのため、これまで通りに円買いは限定的にとどまりそうだ。
(小針)