NY為替見通し=米債安定化策は一時的か、日米の財政懸念は変わらず

 本日のNY為替市場では、米債券市場の動向が相場を大きく左右することになりそうだ。

 昨日、米財務省は償還までの期間が10年以上となる国債の買い入れ規模を少なくとも2倍に拡充すると発表した。ベッセント米財務長官は年初、本邦国債の利回り上昇について「2日間で6標準偏差(6シグマ)変動した」と述べ、本邦の長期金利上昇が米国債市場に波及していることへの懸念を示した。その後、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長が市場金利の上昇を容認するような姿勢を示したことで米債売りが強まり、先週行われた10年債・30年債入札も高い利回り水準での入札となった。こうした経緯を踏まえると、昨日は20年債入札やFOMC議事要旨の公表を前に、長期債や超長期債の利回り上昇に歯止めがかからなくなるリスクを回避するため、先回りして買い入れオペを倍増させたとも考えられる。

 本日は、この買い入れオペによって米債市場で続いてきた米債売り、すなわち金利上昇の流れがしっかりと収まるのかを確認する相場となりそうだ。一方で、買い入れオペを倍増させるほど米債市場が不安定な状況にあるとの認識が広がれば、米財政政策への懸念から再び米債売りが強まる可能性もある。市場では、これまでのトランプ政権の政策に加え、イラン攻撃による戦費拡大や中間選挙を控えた新たなバラマキなどを背景に、買い戻しによって一時的に金利を抑えても、根本的な需給不均衡は解消されず、問題の先送りに過ぎないとの見方もある。そもそもの原因が膨大な米財政赤字や国債の過剰発行にあることを考えると、買い入れオペの拡大は一時的な「カンフル剤」にしかならないとの声もある。

 このような観点からすると、米金利がこのまま低下すればドル円の上値を抑えることになるだろう。ただ、米国と同じように高市政権の財政拡大策に対しても多くの投資家が懸念を表明していることで、円買いが一方的に進むのも難しいだろう。加えて、米国の戦費拡大が確実視されるなか、トランプ政権が在日米軍の負担を日本にさらに求めるなど、米国の財政負担を日本に肩代わりさせる可能性もある。本邦の財政悪化がさらに進むリスクもあるため、円を買うのも難しく、ドル売り・円売りが進むことで、相対的に欧州通貨やオセアニア通貨が買われやすくなる可能性もありそうだ。

 なお、米国からの経済指標は8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分の米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数、7月米景気先行指標総合指数などが発表される。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、昨日の買い入れオペ拡大発表前の安値159.00円。その上は18日高値159.78円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、10日安値157.54円。その下は7日安値156.68円。


(松井)
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