NY為替見通し=日米の利上げペースの差がドルを支えるも、米国の圧力が円売りを抑制か

 本日のNY為替市場では、日米の金融政策のスピード差を背景にドル買い・円売りが強まりやすい一方、米国から日本への圧力が一段と強まる可能性もあり、一方的な円売り地合いには戻りにくいとみる。また、これまでも日銀の金融政策決定会合後に為替介入が実施されていることから、介入への警戒も必要となる。

 16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利上げが決定されたのに続き、本日の日銀も市場予想通り25bpの利上げを決定した。ただ、FOMCでは年内にもう1回の利上げが示唆された一方、日銀では浅田委員と佐藤委員の2人が利上げに反対した。日米ではインフレの進行度合いに差があるため、日本の利上げペースが米国より緩やかになること自体は不自然ではない。

 もっとも、今回の決定で利上げに反対した2人が、いずれも高市政権下で任命されたリフレ派とされる委員だったことは無視できない。日銀の利上げペースを巡る国内の温度差が改めて浮き彫りとなった一方、米国からは日本に対してリフレ政策からの転換を求める圧力が強まっている。今後は、この日米間の政策スタンスの食い違いが為替市場でどのように意識されるかを見極める必要がある。

 ベッセント米財務長官はG20後の記者会見で、アベノミクスについて「大きな成功を収めた」と評価する一方、日本はその成果を享受する段階に移行し、「リフレ政策を止めるべきだ」と踏み込んでいる。高市政権がリフレ政策を積極的に推し進めたいとしても、米国が明確にその方向性にブレーキをかけている以上、政権にとっても本邦金融当局にとっても難しい局面となっている。

 本日、片山財務相が利上げに反対した2人の委員について「個別のことは控える」と発言を控えたことも、その難しさを象徴している。また、植田日銀総裁も会見でベッセント財務長官との会談内容について具体的なコメントを避けている。米国が日本の金融・為替政策に対してこれまで以上に強い関心を示していることは明らかであり、今後、日銀の利上げペースや円安に対する米国の圧力がさらに強まる可能性には注意が必要となる。

 本来であれば、日米金利差が縮小しにくいことから、ドル買い・円売りが強まりやすい局面だ。しかし、今回は単純な金利差だけでは判断できない。高市政権下でリフレ派の存在が改めて浮き彫りとなったことで、米国が日本に対する圧力をさらに強める可能性がある。そこに為替介入への警戒も加わることで、ドル円の上値は抑えられやすく、一方的な円売り地合いには戻りにくいだろう。 

 なお、来週の国連総会に出席するため訪米する高市首相は、トランプ米大統領との首脳会談を行う方向で最終調整を進めている。来週も日米関係をめぐる動向が為替市場に影響を与えることになりそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、200日移動平均線158.42円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、これまでの本日安値155.87円。介入が入れば16日安値154.86円。


(松井)
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