週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、財政・金利動向に注目

◆ポンド、英経済の底堅さが支えに
◆ポンド、10月予算案を睨んだ財政・金利動向に注目
◆加ドル、通商摩擦と成長減速リスクが重し

予想レンジ
ポンド円 207.50-212.00円
加ドル円 111.00-113.50円

9月28日週の展望
 来週のポンドは、英国経済の底堅さを確認しつつ、10月末の予算案を意識した英長期金利の動きに神経質な展開となりそうだ。経済協力開発機構(OECD)が明らかにした最新予測では、英国の2026年成長率見通しが1.1%へ上方修正された。一方、インフレ見通しは3.1%へ下方修正されている。18日発表の8月小売売上高は前月比0.5%増と予想(0.2%減)を大きく上回る強さを示した。9月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は、前月比低下予想から一転して上昇。同月サービス部門PMIは予想に届かなかったものの、景況判断の境目である50を3カ月連続で上回り続けている。今週も重要な経済データは乏しいが、週半ばの4-6月期国内総生産(GDP)改定値でも堅調な数字が期待されている。

 もっとも、財政面の重しは根強い。22日には8月財政赤字の拡大を受け英10年債・30年債が大きく売られた(利回りは上昇)。欧州の大手銀行の試算では、中東情勢の緊迫化に伴う金利・インフレ見通しの上振れや移民前提の下方修正により、予算責任局(OBR)が3月時点で示した財政余地236億ポンドは大幅に目減りする軌道にあるという。財務省は銀行・石油大手への超過利潤税やスロットマシン増税などを検討中とされ、10月28日の予算案でヒーリー財務相がどこまで増税・歳出削減に踏み込むかが、長期金利、ひいてはポンドの行方を大きく左右しそうだ。

 加ドルは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の不透明感が依然として重しとなっている。OECDは今週、カナダの2026年成長率を1.2%から0.9%へ引き下げた。USMCAの先行き不安が地域貿易の逆風とし、2027年も1.7%から1.3%へ下方修正した。米加関係の軋みは個別品目にも及ぶ。トランプ大統領は21日、化学肥料の原料カリ化合物について、従来カナダからの輸入が約8割を占めていたが、ベラルーシから大量調達する取引を進めると発表。マックレムBOC総裁も21日、新たな米関税が続けば10-12月期成長率が1%を下回る可能性を指摘。インフレと景気減速の板挟みで、金融政策のかじ取りが一段と難しくなっているとの認識を示した。

 こうしたなか、カーニー加首相は、「米国との貿易合意は依然可能」としつつ、「欧州連合(EU)など他国との関係深化を進める権利は放棄しない」と明言。マクロン仏大統領とも会談し、気候・エネルギー・安全保障分野での関係強化に合意した。もっとも、EUの「カナダ準加盟国入り構想」はフランスも支持するが、実現には時間を要し、短期的に加ドルを押し上げる材料とは言いにくい。なお、来週のカナダ経済指標は29日に7月の月次GDP発表程度にとどまる。

9月21日週の回顧
 ポンドや加ドルは、対ドルでは米長期金利の大幅上昇を受けて軟調推移。ポンドは1.34ドル付近から1.32ドル手前、加ドルが1.39加ドル後半から1.41加ドル半ばまで売られた。

 一方、ポンド円は210円、加ドル円が112円を挟み上下する展開が続いた。ドル相場が中心となり、クロス円は全般に方向感が出なかった。(了)

(執筆:9月25日、9:00)

(松井)
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