欧州マーケットダイジェスト・29日 株年初来安値・金利上昇・ドル安

(29日終値:30日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=144.62円(29日15時時点比▲0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=141.44円(△1.65円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9780ドル(△0.0116ドル)
FTSE100種総合株価指数:6881.59(前営業日比▲123.80)
ドイツ株式指数(DAX):11975.55(▲207.73)
10年物英国債利回り:4.143%(△0.131%)
10年物独国債利回り:2.181%(△0.061%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
9月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値)▲28.8      ▲28.8
9月ユーロ圏経済信頼感指数      93.7       97.3・改
9月独消費者物価指数(CPI)速報値
前月比                1.9%       0.3%
前年比                10.0%      7.9%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドは全面高。対ドルでは一時1.1108ドル、対ユーロでは0.8819ポンド、対円では160.25円まで値を上げた。市場では「月末・四半期末を控える中、ポンド買いのフローが観測された」との指摘があった。
 なお、前日は英中銀(BOE)が一時的に長期債を買い入れると発表したことを受けて、英国債相場が大幅反発(金利は低下)したものの、1日で流れが反転。本日の英国債相場は下落(金利は上昇)した。

・ユーロドルは底堅い動き。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数が年初来安値を更新するなど、欧州株相場が下落するとリスク・オフのドル買いが先行。16時30分過ぎに一時0.9636ドルと日通し安値を更新した。
 ただ、「ドイツ連立政権はガス価格の上限設定で合意」との報道が伝わると買い戻しが優勢に。月末・四半期末が接近する中、ロンドン・フィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測されると、ユーロはポンド以外の通貨に対して上昇した。1時30分前には一時0.9798ドルと日通し高値を更新した。市場では「月末・四半期末の特殊玉での買いだけでなく、米長期金利が低下に転じたことによるドル売りも出た」との声が聞かれた。

・ドル円は弱含み。22日の政府・日銀による円買い介入が行われた145円台が「防衛ライン」として意識される中、しばらくは144円台後半でのもみ合いが続いた。
 ただ、NY市場に入ると徐々に上値が重くなった。ポンドやユーロに対してドル安が進んだ影響を受けたほか、米10年債利回りが一時3.71%台まで低下したことが相場の重しとなり144.26円付近まで下押しした。
 なお、岸田文雄首相は来月3日の所信表明演説で「電気代の負担軽減に取り組む」と表明することで調整に入ったようだ。演説原案では「電気料金について、来春にかけて急激な値上がりのリスクがある」と指摘し、「家計や企業の負担増を直接的に緩和する前例のない思い切った対策を講じる」と言及するもよう。市場では「英国の二の舞を演じることで、日本売りにつながるのではないか」との懸念も浮上している。

・オフショア市場で人民元は上昇。中国当局が「国有銀行に介入準備を指示した」との報道を受けて、対ドルでは一時7.0895元、対円では20.36円まで元高が進んだ。

・ユーロ円はしっかり。ポンド以外の通貨に対してユーロ買いが進んだ流れに沿って一時本日高値となる141.49円まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は大幅反落し、昨年7月20日以来の安値で取引を終えた。前日はBOEが一時的に長期債を買い入れると発表したことを受けて、英国債相場が大幅反発(金利は低下)したものの、1日で流れが反転。英国債相場が下落(金利は上昇)したため、投資家心理が悪化した。HSBCやバークレイズなど金融株の下げが目立ったほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株に売りが集まった。

・フランクフルト株式相場は大幅反落し、20年11月以来の安値となった。9月独CPI速報値が予想を上回ったことが分かると、高インフレによるユーロ圏景気への悪影響を懸念した売りが出た。ユーロ圏の深刻なエネルギー危機も警戒される。個別ではポルシェ(10.93%安)やフォルクスワーゲン(6.85%安)、コンチネンタル(6.63%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。9月独CPI速報値が上振れたことで独国債に売りが出た。

(中村)
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