週間為替展望(ポンド/加ドル)- ポンド、中期財政計画に注目

◆ポンド、英10月CPIを見極めることに
◆ポンド、中期財政計画の発表に注目集まる
◆加ドル、カナダ10月CPIが利上げ幅決定へのヒントに

予想レンジ
ポンド円 161.00-169.00円
加ドル円 103.50-108.50円

11月14日週の展望
 英国では16日に10月のインフレ指標が発表される。翌17日にはハント英財務相が注目の中期財政計画を公表するものの、まずは足もとの物価動向を見極める必要があるだろう。

 前回9月CPIは前年比10.1%の上昇率と、7月に記録した40年ぶりの高い水準に並んだ。英中銀チーフエコノミストでもあるピル英MPC委員は先の講演で「インフレがもたらす脅威は制御されていない」との見解を示しており、今回のCPIも高止まりする可能性は否定できない。そのピル氏は、「物価抑制のため政策金利の更なる引き上げが必要」との考えを改めて述べたが、一方で「英経済はリセッションに向かっている」と懸念も表明。今後の金融政策の舵取りは益々難しくなることが予想され、先行き不透明感が深まるなかポンドは不安定な動きが続きそうだ。

 中期財政計画に関しては、発表時期が二転三転した分だけ市場の目は厳しそう。財政の穴を埋めるため、ハント英財務相は約300億ポンドの歳出削減と200億ポンドの増税方針を打ち出すと複数が報じた。また年金額や社会保障給付金の維持のために、所得税の最高税率引き上げも検討されているようだ。スナク首相が財政規律を重要視する姿勢を見せることができれば、債券市場は落ち着きを取り戻すだろう。ただ規律が想定以上に厳しいとなれば、経済活動の更なる減速にも繋がりかねず、金融市場の新たな不安要素を生みそうだ。明るい話題としては、北アイルランドを巡る交渉で英国とEUが大きく歩み寄りを見せているとの報道。英本土と北アイルランドの間での税関検査義務について、合意成立に向けた動きが進んでいるもよう。年内の交渉妥結もあり得るとの声も出ている。

 カナダも16日に10月CPIが発表される。前回は6.9%と4月以来の7%割れ、6月の8.1%をトップとしたインフレ鈍化の流れが継続された。カナダ中銀(BOC)は前回会合で0.5%の利上げを決定し、更なる利上げを示唆しながらも「引き締め策が終わりに近づいていると」表明。市場では来月7日の会合では利上げ幅を通常の0.25%に戻すとの見方が広まった。しかしながら、10月カナダ雇用統計の強さを受けて風向きが変わりつつある。新規雇用者数は10万8300人増と大予想を大幅に上回った。一部では再度0.5%利上げの予想も出ている。CPI次第では、素直に加ドルが上値余地を試す場面があるのではないか。

11月7日週の回顧
 ポンド、加ドルともに、対ドルでは10月米CPIが想定以上に鈍化していたことを受けて上昇。ポンドドルは週初の1.13ドル割れから切り返し、約2カ月ぶりの1.17ドル台乗せとなった。加ドルは1.35加ドル後半から9月20日以来の加ドル高となる1.33加ドル手前まで加ドル高ドル安が進んだ。

 一方でクロス円は下値を広げる展開に。米金利の大幅低下を背景にドル円が急落した影響をより受けた。週前半はショートカバー優勢だったポンド円だが169円乗せでは頭を抑えられ、米CPI後には約1カ月ぶりの安値となる164円前半まで売られる場面があった。加ドル円は週初につけた109円付近から105円前半まで加ドル安・円高に振れた(了)
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