NY為替見通し=金融危機相場続きドル円の売り場探しは変わらずか

 欧州入り後のドル円は、130円後半から131円前半での取り引きが続いている。

 本日は米国からは新築住宅販売件数以外は主だった経済指標の発表予定が無いが、引き続き上下に大きく動く可能性がありそうだ。特に市場では、シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の経営破綻、クレディ・スイスの救済などの金融機関の信用不安に対する懸念が全く払しょくされていないことで、上値が重くなりそうだ。

 21日にイエレン米財務長官は金融危機が拡大した場合は、米連邦預金保険公社(FDIC)の25万ドルの預金保護上限拡大も検討するような発言をしたが、昨日は一転これを否定した。このことで、一部では「金融危機が拡大しないから否定をした」との見当違いな捉え方をしている。しかし、昨日の発言は、多くの投資家だけでなくウォーレン上院議員(民主党)などからも、政府が金融機関へ過剰と言える保護に対して厳しい指摘を受けてきたことが影響しているからだろう。

 現時点では、金融危機の拡大が収まるような状況ではなく、昨日パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「銀行システムを安全に保つため、あらゆる手段を講じる用意」と発言しているように、これからも金融危機が拡大することを念頭に入れておかないといけない相場になりそうだ。なお、一部では金融不安の解消が流動性の供給で収まるとの誤解があるようだが、これまでの幾多の金融危機でも中央銀行が流動性を供給するのは当然のことで、流動性の供給で危機に陥った金融機関が早急に問題を解消したことはほぼない。

 リスク許容度次第の相場が続きそうだが、ここ最近のドル円の流動性が非常に悪いことで、米金利の些細な動向でも大きく動くことで、注意深くポジションをマネージする必要がありそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、昨日FOMC後の戻り高値131.68円、その上は日足一目均衡表・転換線132.77円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、これまでの日通し安値130.42円、割り込むと節目の130.00円。


(松井)
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