東京為替見通し=ドル円 材料探し、豪ドルは格言を念頭に置いた取引か

 海外市場でドル円は欧州序盤につけた139.10円を下値に一時139.99円まで反発。米金利上昇にともなうドル買いに後押しされた。ただ新規材料乏しいなかで、一巡後は値動きが鈍った。ユーロドルは1.0660ドル台まで反落。欧州中央銀行(ECB)のインフレ期待調査が低下した影響を受けた。ユーロ円は148.83円まで下げたあと、149円前半から半ばで上下した。

 本日の東京為替市場でドル円は昨日同様に139円台を中心に方向感を探る展開となりそうだ。昨日は元米連邦準備理事会(FRB)副議長のクラリダ氏による「FRBが2024年まで利下げを開始する可能性は低い」との発言を受けて米金利が上昇し、これにドル円も飛びついた場面があった。同氏は確かに米金融政策を決定するうえで重要な位置にいたが、退任は1年5カ月前だ。現在は、債券運用残高では世界最大級のアクティブ運用会社・ピムコのグローバル経済アドバイザーでもあるため、発言はポジショントーク的な面が強いのではないか。それに反応してしまうほど「相場は材料難だった」ということを象徴している。

 短期金利市場がFOMCをどう予想しているかをCMEのフェドウォッチでみると、来週は据え置きが8割超、逆に7月は利上げを6割超織り込んでいる。この辺りの見方について今週は変わりようがなさそう。12月会合に対しては、夏の利上げ後から現行水準に戻すか、または更に0.25ポイント引き下げもあり得るかという程度。1カ月前には利下げしか眼中になかったところから考えると、かなり雰囲気は変わった。この辺りは注視していきたい。

 米金利で気になるのは、中長期金利の逆イールドが再び拡大傾向にあること。昨日は米2年債利回りが前日比+0.01%の4.48%、同10年債利回りは前日比-0.02%の3.66%と82ベーシスポイント(bp)差まで広がった。年初から3月前半にかけて逆イールドは拡大基調となり、一時は約110bp差を記録。月後半にかけて急速に縮小したものの、5月以降では再び中期金利の上昇が長期金利より目立っている。金利全般の方向性を示唆しているのかもしれない。

 なお日本時間10時30分には1-3月期豪国内総生産(GDP)が発表予定。市場予想は前期比0.3%増、前年同期比2.4%増と前四半期からプラス幅を0.2-0.3ポイント縮める見込み。昨日に0.25ポイントの利上げを決定した豪準備銀行(RBA)は声明で示した「経済成長の減速」を確認することになりそうだ。遅行指標ということもあり、予想から大きく上下に振れない限りは豪ドル相場への影響は限定的だろう。

 その豪ドルは、昨日のRBA利上げ以降、底堅い動きを見せている。豪ドル円は93円前半と約半年ぶりの高値圏でニューヨーク引け、豪ドル/ドルも0.6690ドル台の200日移動平均線に迫った。「The trend is your friend」という相場格言を念頭に置いて取引したほうがよいかもしれない。

(小針)
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