NY為替見通し=引き続き金融リスクへの警戒強い、タカ派のブラード氏の見解にも要注目

 欧州時間にドル円は2月10日以来となる130円台を割り込んでいる。欧州債券に買いが集まり、時間外の米債も連れて買われ、米金利が低下していることが背景。
 
 連日ドル円は、米金利の動向に連れた値動きになっているが、本日も米金利次第の相場になることになるだろう。リスクが高いのは新たな金融不安となるニュースが流れないかということで、ダウンサイド・リスクの方が大きいだろう。これまでの金融危機を振り返っても、危機が数週間で去ったことはなく、リーマンブラザースもサブプライムローンの問題が表面化してから1年以上経過して破綻している。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)後に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「銀行システムを安全に保つため、あらゆる手段を講じる用意」と発言しているように、FRBも警戒を緩めていない。また、連日イエレン米財務長官が米連邦預金保険公社(FDIC)の25万ドルの預金保護上限拡大についての発言が変化しているが、一貫しない発言を見ると、今後も敢えて米系地方金融機関へ資金を留めておくのはリスクが高く、今後更に資金が流出するリスクは高いと言えそうだ。米系地銀の経営悪化という大きなリスクがある限りは、避難通貨としての円や、昨日大幅上昇した金先物などに資金が集まりやすい状況になるだろう。

 本日は米国から、2月米耐久財受注額、3月の各業種の購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。欧州のPMIでの市場の動きが鈍かったように、米国の経済指標での反応は鈍くなるか。
 要人の講演では、ブラード米セントルイス連銀総裁の講演に要注目。今年はFOMCでの投票権を有していないが、タカ派の総裁が金融危機をどう捉えているかに注目。ブラード氏は且つてはハト派だったこともあり、経済情勢や金融危機状況などにより方針を転向する可能性もあり、タカ派スタンスに変化が生じた場合は、ドルの上値を抑えることになりそうだ。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、本日の日通し高値130.94円、その上はFOMC後の戻り高値131.68円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、現行水準からはまだ遠いが2月3日安値128.33円。

(松井)
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