NY為替見通し=米国休場だがスクランブル体制は継続

 本日のNY為替市場では、米国がジューンティーンスのため休場となるほか、主だった経済指標の発表や要人発言も予定されておらず、市場参加者の減少が見込まれる。しかし、緊迫化したイスラエル・イラン情勢には引き続き警戒が必要であり、ドル円は不意の動き出しへの緊張感を保ちながら神経質な動きが見込まれる。

 イスラエル・イラン情勢について、一部通信社が「米国は今週末にもイラン攻撃の可能性を検討」と報じるなど、米国が軍事介入に踏み切るとの懸念が根強い。万一介入する事態となれば「有事のドル買い」が一段と強まる可能性はある。ただし、1991年の湾岸戦争の際はドル円が下落した点を踏まえると、ドル売りへの備えはしておきたいところである。

 プロイセンの軍人だったクラウセヴィッツは戦争論で「戦争は政治の一形態」としていた。この言葉を借りるとするならば、一方が無条件降伏とならない限り、戦争状態が終結する際は有利な立ち位置で迎えたいとの思惑が両陣営に働くことが容易に想像できる。事態終結には時間がかかるかもしれない。

 その他、トランプ米大統領からの不意の発言には、引き続き注意が必要だろう。

 テクニカル面では、ドル円は三角保合を上抜けたことで、目先は上値を試しやすい状況といえる。今週に入り上値を抑えている11日高値145.46円を明確に上抜けると、先月29日高値146.28円に向けた続伸もあるだろう。ただし、11日高値付近には日足・一目均衡表の雲上限が位置しており、同水準が引き続き抵抗として意識される場合は調整安にも備えておきたい。


想定レンジ上限
・ドル円は、5月29日高値146.28円

想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線144.13円



(川畑)
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