東京為替見通し=ドル円は歴史的高値圏で神経質な展開、介入警戒と実需フローが交錯

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。政府が7月に策定する「骨太の方針」では、物価高の抑制を狙って追加利上げを志向する日銀をけん制するとの思惑から全般円売りが優勢になった。4時前に一時161.98円と1986年12月以来の高値を付けたが、介入警戒感から一本調子で上昇する展開にはならなかった。ユーロドルは月末・四半期末が近づく中、ユーロ買いのフローが目立ち、一時1.1431ドルまで上昇した。

 ドル円はおよそ39年半ぶりの高値を付けたが、本日の東京外国為替市場では政府・日銀による為替介入への警戒感から、きわめて神経質な綱引きが続きそうだ。米金利先高観を背景に押し目買い意欲は日に日に強まるなかで、実需のフローが交錯する月末・四半期末の仲値公示にかけては荒っぽい動きに警戒が必要となる。

 こうしたドル買いの背景には、米利上げ期待のほかにも、遅々として進まない中東情勢の状況がある。トランプ米大統領は30日にカタールで対話を行う考えを表明したものの、イラン外務省側が「数日以内の協議」を真っ向から否定するなど、両国間の深い溝が改めて浮き彫りとなった。カタールなどを介した水面下の調整に期待が寄せられていた反動もあり、進展の見通しが立たない現状は「有事のドル買い」の土台を容易に崩させない要因として機能している。米金利高と地政学リスクの双方がドルを支える構図に変化はない。

 そのなかで、本日は月末および四半期末の最終取引日という特有の需給要因が相場を動意づけそうだ。市場全体に実弾介入への恐怖心が漂うなかでも、東京仲値にかけては輸出入企業などの実需勢によるポジション調整や決済のフローが大量に持ち込まれることが予想される。輸出企業による円買い需要が下押し要因となる一方で、輸入企業の旺盛なドル買いも根強く、双方の思惑が複雑に絡み合うことで、仲値公示の前後の動きには注意したい。

 ただ、今晩の5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数などを皮切りに米重要指標が続々と発表になるため、東京市場では様子見ムードが強まる可能性があるだろう。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が昨日、「雇用関連の指標は、再び強い雇用レポートが発表されることを示唆している」と強気の発言をしているだけに、良好な結果によるドル高を期待する声は多い。

 国内では5月完全失業率や5月鉱工業生産速報などの主要経済指標が発表される。しかし、市場の関心が歴史的な為替水準と介入の有無に集中するなかでは、材料視されにくい。需給フローと不透明な国際情勢を睨みながらの「探り探り」の相場展開が続く公算が大きい。

(越後)
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