NY為替見通し=まずADPとECBフォーラムに注目、ドル円は上値余地試すか

 本日のニューヨーク為替市場ではまず、明日の6月米雇用統計の前哨戦とされる同月ADP全米雇用報告の結果に注目したい。その後は、本日までポルトガル・シントラで開催の「ECBフォーラム」で主要中銀総裁によるパネルディスカッションが控えている。ドル円は本日も1986年以来のドル高円安水準を更新しており、本邦通貨当局の動向も引き続き意識されるだろう。

 前日発表の5月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数は759.4万件と予想を上回り、労働需要の底堅さが改めて示された。昨日はベッセント米財務長官が「6月の雇用統計が強い数字だとしても驚かない」と述べており、そういった中でADPが予想12万人増を上回るようだと、明日の雇用統計への期待が一段と高まるだろう。ドル高の流れを後押しするような結果であれば、ドル円は1986年以来の163円台に乗せ、そこから更に上値を試す展開もありそうだ。

 シントラのパネルディスカッションでは、ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長も参加する。先月は、ウォーシュ議長体制になり初めての米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、それ以降、米金利先高観が高まっている。ウォーシュ氏が本日、インフレへの警戒姿勢をどの程度まで示すかがポイントだろう。一緒に参加するラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁やベイリー英中銀(BOE)総裁との政策スタンスの違いが明確になるようだと、ユーロドルやポンドドルの動意にも繋がりそうだ。

 日本に目を向けると三村財務官は1日、4月末以降の円買い介入について「その後の市場の動きからみて明らかに意味があった」と振り返った。しかし皮肉なことに、その介入から2カ月も経たないうちにドル円は1986年以来の高値圏へと再び押し上げられている。財務官は「投機的な動きを常に注視している」と牽制するにとどめたが、163円台に踏み込めば実弾介入への警戒が再び高まるかもしれない。ただし、ファンダメンタルズを無視したような介入に対して、持続効果があるかは疑問視される。

 なお、依然として「有事のドル買い」を想定させる局面がある中東情勢については、米イランは戦闘終結の覚書に署名したものの、核問題の最終決着は60日以内の交渉に先送りされている。ドーハでは現在も間接的な技術協議が続いていると伝わるが、カタールとパキスタンが仲介に入る「間接協議」という枠組み自体が、双方の溝の深さを物語っている。ホルムズ海峡をめぐってはイランが「自発的通航料」を求める動きも浮上しており、情勢の不透明感は払拭されていない。

想定レンジ上限
・ドル円、ピボットレジスタンス2の163.14円

想定レンジ下限
・ドル円、6月30日安値の161.90円

(小針)
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