東京為替見通し=ドル円、イラン情勢緊迫化で堅調推移 円買い介入には要警戒か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、イラン情勢の緊迫化を受けてWTI原油先物価格が1バレル=78ドル台半ばまで上昇し、米10年債利回りが4.6237%前後まで上昇したことで、162.48円まで上値を伸ばした。ユーロドルはWTI原油先物の上昇やFRBによる早期利上げ観測の高まりを背景にした米長期金利の上昇などで、1.1378ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、上値を探る展開が予想される。米軍が3日連続でイランを攻撃したことを受けてWTI原油先物価格が急騰しているほか、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ期待が高まり、米10年債利回りも上昇していることが支えとなりそうだ。

 米国とイランは、暫定的な60日間の停戦期間中にもかかわらず攻撃の応酬を続けており、WTI原油先物価格も78ドル台まで上昇してきていることで、有事のドル買い・円売り圧力が強まりつつある。

 一方で、ドル円が163円に向けて堅調に推移しており、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)関連の報道には警戒しておきたい。

 また、「骨太の方針」原案による「骨太ショック」を受けた円売り・債券売りが、片山財務相発言による「片山ショック」で円買い・債券買いとなったものの、情報が錯綜しており、21日の閣議決定までは予断を許さないGPIF相場が続くことになる。

 ドル円は、6月30日に発表された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案を受けた「骨太ショック」で、1986年以来の162円台、新発10年物国債利回りは1996年以来の2.90%台に乗せていた。しかし、7月10日に、片山財務相がGPIFのポートフォリオでの国内投資を示唆したことにより、ドル円は161円台、新発10年物国債利回りは2.70%前後まで戻していた。

 その後、昨日は、政府関係者が、片山発言の主眼は「骨太ショック」の沈静化にあり、GPIFの基本資産構成割合(基本ポートフォリオ)の変更を現時点で想定していないと述べつつ、現行の乖離許容幅の範囲内で投資強化を図るなど有効な方策を探ると述べた。

 さらに、木原稔官房長官は、GPIFの基本資産構成割合に関して「必要があれば修正が行われることになると承知している」と述べている。すなわち、21日に閣議決定が予定されている「骨太の方針」での警戒ポイントは、「財政健全化」や「日銀法3条」、そして、ポートフォリオの乖離許容幅(±6.0%)での国内投資強化の可能性を見極めることになる。

 昨年9月に公表された日米共同声明では、「年金基金などの政府投資機関は、リスク調整後のリターンと分散投資の目的で海外に投資を継続し、為替レートを標的にしない」と言及された。米国財務省が昨年6月5日に公表した「為替報告書」では、「大規模な公的年金基金など政府系投資機関は、リスクを加味した収益や分散投資のために海外に投資すべきで、競争力を念頭に為替相場を目的にすべきではない」と言及されていた。

 トランプ米政権は、公的年金基金の海外投資を通じた円安誘導を警戒している可能性があるため、まもなく公表予定の「為替報告書」で年金への言及があるかどうかに注目しておきたい。

(山下)
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