NY為替見通し=ドル円、地政学リスクが下支えも財政懸念と介入警戒感が重し

 NYタイムのドル円は、イラン情勢の緊迫感がくすぶるなか、有事のドル買い圧力で底堅さを維持しつつも、国内の財政政策を巡る思惑や為替介入への警戒感から、心理的節目を前に上値の重い展開を想定する。

 前日の米6月消費者物価指数(CPI)の下振れを受けたドル売りは、ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派的な議会証言によって巻き戻された。足もとでは日米金利差を背景としたドル買い・円売り意欲が根強いものの、政府・日銀による円買い介入への実務的な恐怖心が上値を抑える格好となりそうだ。

 国内では、21日に閣議決定が予定される「骨太の方針2026」や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針を巡る思惑が交錯し、上値を追いにくくさせている。骨太の方針の原案から「財政健全化」が削除されたことや、日銀の利上げ牽制がもたらした「骨太ショック」への懸念、さらにはGPIFによる国内債券シフト(外貨建て資産比率の引き下げ)などの発言が相次いでいる現状は、市場を疑心暗鬼にさせている。

 米財務省の外国為替報告書の発表時期とも重なり、ポートフォリオ変更やヘッジ強制のニュアンスを含むヘッドラインが急に伝われば、一転して円買い戻しを急がせる波乱要因になりかねない。一方で、ドル買いの底流にあるのは、再び緊迫の度合いを高めつつあるイラン情勢と、これに伴う「有事のドル買い」圧力である。トランプ米大統領の追加攻撃への警告や、ホルムズ海峡再閉鎖への動きなど、エネルギー供給やインフレ見通しへの不透明感は根深く、単純なドル売り戻しへのハードルを高めている。

 今夜はウォーシュFRB議長の上院議会証言や米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米卸売物価指数(PPI)の発表なども控えており、前日のタカ派発言を踏襲して物価安定への強い決意が示されれば、米長期金利の上昇とともにドルの押し上げ要因となるだろう。

 また、カナダ中銀(BOC)の金融政策発表と加ドルの動向にも留意したい。政策金利は2.25%に据え置かれる見通しが濃厚だが、市場の関心は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直し長期化が実体経済に与える評価に向いている。すでにBOCは設備投資の連続減少を協定の不確実性と結びつけており、今回の声明文で企業活動や今後の金利パスに慎重な見解がにじめば、加ドルの重石となる可能性がある。


・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、1986年12月22日高値163.30円。
ドル・カナダドルの上値(カナダドル安値)めどは、14日高値1.4157カナダドル。

・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、10日安値161.28円。
ドル・カナダドルの下値(カナダドル高値)めどは、6月15日安値1.3951カナダドル。

(関口)
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