NY為替見通し=報道で右往左往も明日のCPI控え円相場はもみ合いか

 本日のNY為替市場では、米債利回りの動向に一喜一憂する展開が予想される。ただ、明日の9月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、トレンドを形成するような動きにはつながりにくく、レンジ取引に終始する可能性がある。

 欧州勢参入後、一部通信社が関係者筋の話として、今月の日銀金融政策決定会合では「利上げを見送る公算が大きい」と報じると、ドル円は158.37円まで瞬間的に上昇した。もっとも、「12月の可能性は排除せず」との見方も伝わると、ドル円は再び158円を割り込んだ。利上げ見送り報道を受けて上値を追ったものの、買いの勢いは続かず、高値で買った向きが捕まった可能性もある。

 そもそも市場では、10月は日銀だけでなく、米連邦準備理事会(FRB)も政策金利を据え置くとの見方が優勢だった。米雇用統計などを受けても、FRBの早期利上げ観測が強まっていたわけではない。今回の報道に対するドル円の反応は、利上げ見送りを新たな材料として円売りを仕掛けたというより、短期筋が一時的に上値を追った側面が強そうだ。実際、その後は158円を割り込み、ドル円の上値の重さが改めて意識されている。

 ただし、ここからドル売りが一段と加速し、明確な下落トレンドに発展するとみるのも早計だろう。ドルを支える要因として、対ユーロでのドル買い基調が鮮明なことに加え、中東情勢を背景に原油価格が大きく崩れにくいことが挙げられる。円買い材料だけでドル円の下落が持続するとは限らず、欧州通貨や原油、米長期金利の動向を見極める必要がある。

 ユーロドルは上下に振れる場面こそあるものの、先月以降の下落基調が鮮明だ。昨日も昨年5月以来の安値圏で推移した。フランスの財政不安を背景とした格下げ懸念に加え、欧州各国の政治情勢を巡る不透明感も重しとなっている。問題が山積する中、現時点ではポジション調整を除き、積極的にユーロ買いを仕掛ける材料に乏しい。特にフランスの財政問題は、予算審議を巡る政治的対立が続く可能性があり、ユーロの戻りを抑える要因となりそうだ。ユーロ売り・ドル買いが続けば、ドル円が上値の重さを抱えていても、ドル全体の下落は限られる可能性がある。

 原油価格もドルを下支えする要因だ。先週末、トランプ米大統領は中間選挙までのイラン攻撃停止に加え、ロシアからの軽油供給について合意したと発表した。それにもかかわらず、原油先物価格は大きく値崩れしていない。中間選挙を意識した攻撃停止が恒久的な緊張緩和を意味するわけではないことは、イラン側だけでなく市場も織り込んでいると考えられる。中東情勢の先行きに不透明感が残る以上、原油価格の下落余地は限られ、エネルギー価格を通じたインフレ圧力も簡単には後退しないだろう。これが米長期金利の低下を妨げ、ドルの下値を支える可能性がある。

 もっとも、米金融政策を巡っては、明日の9月CPIが重要な判断材料となる。市場では10月会合での利上げ確率が約2割にとどまる一方、12月会合での利上げは有力な選択肢として意識されている。12月までに少なくとも1回の利上げが行われる確率も8割前後とされており、CPIが市場予想を上回れば、利上げ観測が一段と強まる可能性がある。反対に、インフレ鈍化が確認されれば、金利上昇を見込んだポジションの巻き戻しを通じてドル売りが進む展開も考えられる。中間選挙を控えた政治情勢も意識されるが、最終的には経済指標が金融政策の見通しを左右することになるだろう。

 なお、本日は米国で9月中古住宅販売件数などの経済指標が発表されるほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁やコリンズ米ボストン連銀総裁の発言も予定されている。両総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たないものの、発言内容が市場の政策見通しに影響する可能性には注意が必要だ。ただ、明日のCPIを前に米金利が大きく動かなければ、ドル円が一方向に走る展開は想定しにくい。むしろ、フランスの財政問題や英国の金融政策見通し、中東情勢を材料に欧州通貨が主導権を握り、ドル円は方向感を欠く展開となりそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、12日高値158.75円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、8日安値157.52円。その下は日足一目均衡表・雲下限156.64円。


(松井)
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