東京為替見通し=米消費低迷・インフレ抑制で上値重いか、東京都区部CPI・中国株に注目

 海外市場でドル円は、NY連銀が発表した1年先のインフレ期待が21年7月以来の低水準を付けたことが分かると、米10年債利回りの低下とともにドル売りが優勢になり131.54円付近まで下押しした。ユーロドルは一時1.0761ドルと昨年6月以来約7カ月ぶりの高値を付けた。

 本日の東京時間のドル円は振幅が激しくなるだろうが、上値は重くなるか。東京不在の昨日は、中国のゼロコロナ政策が週末の7日に正式終了したことを歓迎し、人民元(CNH)をはじめ、韓国ウォン(KRW)、タイバーツ(THB)、マレーシアリンギット(MYR)などアジア通貨に買いが集まった、また、リスク選好に敏感な豪ドルも堅調に推移し、昨年8月以来の水準まで上昇している。本日は中国株がこのまま堅調地合いを維持できるのか、それとも昨日の動きが1日だけの「ご祝儀相場」だったのかを見極めるのが重要になる。

 本日の東京時間の経済指標では、12月東京都区部消費者物価指数(CPI)などが発表される。通常は東京都区部のCPIで市場が反応することはほぼ無いが、来週17-18日の日銀政策決定会合で「物価見通しの上方修正の可能性」が年末の新聞に掲載されたことで、CPIの上昇基調が確認された場合には市場が動意づく可能性は否定できない。

 上述の株式市場や経済指標などでの動きも相場を左右するだろうが、アジア通貨、オセアニア通貨だけでなく欧州通貨もドル売り地合いが強かったことで、本日の東京時間でドル売りの流れを止めるのは難しいだろう。昨日は米ニューヨーク連銀の12月の消費者期待調査で、1年先のインフレ期待が21年7月以来の低水準だったが、インフレ期待以外でも家計支出の予想も5.9%となり2022年1月以来の水準まで低下。今後1年間のガソリン価格の上昇予想は4.1%、食料品価格は7.6%の上昇予想となったが、どちらも前月から0.7%の低下となっている。インフレ抑制と消費の低迷という予想になり、ドルの上値が抑えられそうだ。

 なお、本日は連休明けの5・10日(ゴトー日)ということで、東京仲値にかけては通常よりもドル不足になる可能性もある。市場流動性が悪いこともあり、一部金融機関が強引に動かす可能性があることには警戒したい。また、東京時間ではないが、本日はスウェーデン中銀(リクスバンク)主催のイベントで、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演を行う。市場での注目度が高いことで、講演内容次第で相場が急変する可能性もある。

(松井)
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