東京為替見通し=ドル円、米金利上昇・原油高で戻り試すか

 10日のニューヨーク外国為替市場で、ユーロドルはエネルギー価格高騰による欧州景気懸念や8月米卸売物価指数(PPI)が前年比で市場予想を上回ったことを受けて1.1592ドルまで下落。欧州中央銀行(ECB)の0.25%利上げやインフレ見通し上方修正、ラガルド総裁のタカ派姿勢を受けて1.1630ドル台へ下げ渋るも、米金利上昇が戻りを抑えた。ドル円は米長期金利の上昇を受けて買いが優勢となり、米PPI後に154.67円まで上伸後、153.85円付近までの調整売りをこなすと154.50円台へ買い戻された。

 本日の東京市場のドル円は、8・9日で153円割れの水準での底堅さを確認して昨日の上昇により9日高値を上抜いたことで、2日からの下落局面に対する戻りを確かめる可能性があるとみる。

 足もとの材料を整理すると、8日に上野厚労相の発言でGPIFの資産配分の早期見直し期待が後退したほか、一部報道で日銀の0.50%利上げ期待が後退。10日の増日銀審議委員の発言はタカ派的ではあったが、利上げペースの加速についての踏み込んだ発言は見られなかった。これらを背景に、足もとでの円買いが一服している。

 また、前述の米国債の下落(金利は上昇)については、中東情勢の緊迫化・長期化を懸念した原油価格の上昇のほか、戦費拡大懸念も合わさり、結果としてドルの上昇を後押ししている状況である。昨日のWTI原油先物価格は5月下旬以来となる104ドルの大台に乗せ、米インフレ懸念を背景に米10年債利回りは4.96%台と2023年10月以来の高水準で終えた。

 本日も原油や米長期金利の上昇の流れが続くようならば、日銀の利上げ加速観測が和らぐ中、ドル円は1週間以上続いた下落に対する戻り歩調をたどる動きとなることが予想される。

 なお、本邦では8月国内企業物価指数が発表される。消費者物価指数(CPI)を予測するうえで注目したい。市場予想は+7.4%と前回+7.2%を上回る伸びが見込まれている。昨日、日銀の増審議委員が「企業物価の上昇、従来以上に消費者物価を押し上げるものと考える必要」「企業物価の直近での7%上昇に注意を払う必要」などと発言していた。来週の日銀金融政策決定会合が市場の関心事の一つになっている現在、予想を上回る伸びとなれば利上げ加速観測を支えて円が買われる展開もあり得る。通常はCPIほど材料視されにくい指標ではあるが、結果を確認しておきたい。

 もっとも、NY時間には米国で8月CPIのほか、9月ミシガン大学消費者態度指数・速報値の発表も予定されており、これらを見極めたいとして様子見ムードが漂う展開も想定される。

 他方、注意すべきはベッセント米財務長官を始めとする日米金融当局者からの発言だろう。昨日の上昇によりベッセント氏が強い口調で円安けん制をした9日の高値を上抜いたことで、追加のけん制発言が出る恐れは十分にありそうだ。引き続き金融当局者の不意の発言には警戒しておきたい。

(川畑)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。